ホームオンラインショップ > 新刊の本文紹介 『【徹底解説】FAI投資法 完全ルールブック』

新刊の本文紹介 『【徹底解説】FAI投資法 完全ルールブック』

●「月足」の価値を知ってほしい

私たちが個人投資家に強くすすめるのは、「月足を見ること」です。
本書で取り上げている「FAI投資法」は、その月足を積極的に利用して、安全な低位株に選別投資する手法なので、相当多くの投資家に有益だと確信しています。
 
多くの投資家が株を保有する期間は短くても数カ月、実際には数年にわたることが多いでしょう。それなのに、気軽に手に入れる投資関連情報はとても短い時間軸でつくられています。
 
多くのマーケット解説は「1日」単位。場合によっては、「朝は海外株高を好感して買われた」「後場になると○○の懸念から売りが先行した」などと、試合の結果を報じるスポーツ記事のような“読みもの”として仕上げられています。
  • 実際の行動と情報の時間軸がちがいすぎる
  • 混乱が生じてしまい、論理的思考がジャマされる
豊富な社会経験、さまざまなビジネスの経験が生かせるはずなのに、なんだか残念な“ボタンのかけちがい”がつづいてしまうのです。
 
その場だけの“読みもの”に、なんとなく説得力のありそうな判断基準を盛り込んで、純粋な個人投資家を煙にまく……知らずに「情報弱者」に位置づけられてしまう悲劇に陥らない方法は、『独自の判断基準をもつ』こと以外ありません。
 
本書で解説するFAI投資法は、月足による長期トレンドの観察を軸に、限定的な情報だけを扱う実践的な理論をまとめたものです。
 
本格的に取り組まないまでも、本書から学び取ることは多いはずです。
  • 月足による値動き観察に触れる
  • 銘柄選別の方法でヒントを得る
  • やさしいファンダメンタル分析を考える
  • 真に有効な底型の判断方法を知る

●株式投資の魅力は高まった

新型コロナウイルスは、私たちによって脅威です。
日常生活も、ビジネス活動も、一定の抑制を余儀なくされています。
 
だからこそ、リーマンショックの二の舞にならないよう、金融システム維持のために各国が大幅な資金供給を実施しています。「ほぼ無制限」と報道されていますが、大げさではありません。
 
そして、その経済対策の効果は、誰が見てもわかるようなカタチで明らかになりました。
 
3月中旬にかけ、感染拡大の懸念から多くのリスク資産が換金売りを浴びました。
しかし、そんな記録的な下げ方をみせたあと、こんどは記録的なスピードで値を戻したのです。
 
もともと、米国を中心に、「株高を背景とした経済成長」の構造がありました。
その構造が、より強固になったと考えることができます。
 
少なくとも、「足元の業績」という魔法の言葉で投資家を振り回す市況解説にはウソがあり、日々の“読みもの”としてたれ流すメディアはハレンチかつ無責任・・・こんな事実を確認できただけでも大発見です。
 
さて、あらためて「自分自身の基準をつくる」ことや、カネ余りによる「株高の期待」に目を向けてみてもいいと私たちは考えています。
 
個人投資家によって魅力のある「低位株投資」の世界は、ぜひのぞいてみてください。
 
新刊の発行にあたり、自慢の内容を各章から抜粋して引用します。
私が主張する「価値」があるかどうか、ご自身の目でたしかめてください。
 
2020年6月26日
林投資研究所代表 林 知之
 

 本文の紹介 1  「はじめに」(全文)

本書の「はじめに」は、全文を掲載します。

(本文の引用ここから)

読み物のような辞書

 FAI投資法のルールは、29項目ある。
 その29項目を、最終的な行動である「買い」と「売り」、たったの2つに集約するのが本書の目的である。
 FAI投資法の教科書は、すでに存在している。
 私の実父である林輝太郎が遺したのが、『原本FAIクラブの株式投資法』(林投資研究所刊/3巻セット)。新しい事例も盛り込んで短くまとめたのが、拙著『東証1部24銘柄でらくらく2倍の低位株選別投資術』(マイルストーンズ刊)である。
 では、この本の意義はなにか──。
 読み物として順序通りに進むことも可能だが、気になるルール、疑問のある部分だけを、辞書のように拾って読めるのである。
 また、個々のルールについて、複数の観点や意見を示したほか、2008年にルールを改定した際の議論も完全に収録してある。
 経験値の高いオトナ向けに、情報が盛りだくさんなのである。
 なぜ、そうしたか──。
 本書を読んでほしいと願う、私たちのこだわりを以下に述べる。

苦しいか、楽しいか

 筋トレに励む人たちのゴール(目指すところ、目標)は、良質な筋肉をつけることだ。そのために苦しいトレーニングにいそしむのだが、プロセスである苦しい時間も楽しく感じているはずだ。
 「うっ」と力を入れて筋肉に刺激を与える。つらい……。
 でも、ひと行程が終わって「ふぅ~」と息を吐いた瞬間、充実感を得る。一つ一つのトレーニングが、筋肉にどう作用するか、自分の筋肉がどう変化するかを知っているから、苦しい作業を楽しいと感じるのである。
 リハビリなどで必要に迫られてする筋トレは、義務感や嫌悪感が先行するかもしれない。しかし、続けるうちに効果を感じ取れば、達成感から楽しさも生まれるのではないか。
 地味な学びがジワッとでも結果につながる、つまり、自分自身が変化したことを自覚できれば、少し面倒くさい作業も楽しくなる。
 「FAI投資法のルールは、29項目にまとめられています」
 この説明を聞いて、「29もあるの?」と敬遠するか、「どれどれ、1つずつ見てみようじゃないか」とワクワクするか─後者が望ましいことは理解できても、はたして実践できるかどうかが問題だ。
 その望ましい方向に、読者をスッと案内するのが、この『FAI投資法完全ルールブック』の存在だと考える。
 「いったい、林はどう説明するつもりだ?」
 「自分なら、解説の問題点を見つけられるかもしれない」
 わずかでもいいから、こんな行動的な気持ちで本書のページをめくっていってほしい。
 私の解説を受け入れて「なるほど」となったり、疑問を抱いた末に「よし、自分の答えが見つかった」となったりするかもしれない。
 筋トレのインターバルにおいて、満足感と充実感に満ちた状態で「ふぅ~」と息を吐くときと全く同じ快感を得てほしいのだ。

「歩き方」を考える

 私たちは日常、特に意識することなく、日本語を話したり、箸で豆腐を口に運んだりと、なかなか難しい作業をこなしている。
 歩くという動作も同じだ。手足の動きを細かく考えることなく、「前に進もう」とイメージするだけでバランス良く体全体が動く。スピード調節も可能で、人混みでもお互いに進路を微調整しながら、ぶつかることなく歩く。
 考えてみれば熟練の技である。株の売買も、こうありたい。
 理屈を意識することなく、常に感じるままに売り買いした結果、想定通りの運用になるのが理想である。
 そのためには、オトナが外国語を学ぶように、あえて理屈で考える時間も必要だ。
 「おはよう」は英語で「Goodmorning」と素直に受け入れるだけでなく、「お世話になっています」という日本語のあいさつを英語に直訳しても通じないらしい、といった説明を聞いて「なぜ?」「どんな言い方があるの?」と、立ち止まって考えるようなプロセスだ。
 値動きを見ながら自然に「買い」「売り」の決断ができる心地良い状態を想像しながら、29項目のFAIルールを個々に考え直し、納得してからだに落とし込む作業を楽しんでほしい。
 
2020年6月
林 知之
 
(引用おわり)

 本文の紹介 2  1章 底型 から「底練りと上げへの転換」

株価が下げると「逆張りで買い」と考える向きも多いのですが、それは単に“過去を見ている”だけ……私たちが考えるべきは、「現在」と「未来」です。

株価が長期トレンドの安値に達したあと、長い底練りがあるものです。
こういった大切な発想と視点を紹介した部分を引用します。

(本文の引用ここから)

底練りと上げへの転換

 序章では「前文の解説とルールの位置づけ」というタイトルで、ルールの文言を数式的に捉えてはいけない、ということを書いた。
 前項では「3段下げと2番底」というタイトルで、ルール1~3の意味を解説したが、その際に序章で書いたことを踏まえ、月足を見たときの感覚、つまり「見た感じ」の大切さを強調した。
 ここでは、前項で説明したことを再確認しつつ、FAI投資法における長期トレンドの観点を確認してみたい。
 まずは、ルール1~3の文言をあらためて見てみよう。
  • ルール1 4~5年下げ、3段下げ完了の銘柄を買う
  • ルール2 底練りの中の2番底形成を待つ
  • ルール3 下に来ての6連続陰線に注意。W型の底、または小さくとも毛抜きの出るのを待つ
 前項で、「3段下げ」は「下げきっている」ことを意味する、と述べた。ここで、「下げきっている」というのが、どれだけの期間においてのことなのかを考えてみたい。
 次ページに示す月足チャートを見ながら話を進めよう。
 これは、以前にFAIクラブで実際に買い選定し、見事に大暴騰をみせた5631日本製鋼所の月足だ。
 まずは、全体の解説をしてみる。
 安値をつけたポイントを、A、B、C、Dで示した。
 まずはAで底値圏到達が確認できるというのは、あとからの解説でなくても、その時点で可能なことだろう。2000~2001年には、2回安値をうかがったあとで数年間の保合レンジを上抜いている。
 これで「上げの兆し」とみることもできそうだが、日柄が足りない感じは否めない。
 さて少し上昇したもののCで安値を更新し、Dにかけて連続陰線で下げて再び安値を更新した。
 もしBのあとの上昇を兆しと判断して選んでいたら「ちょっと早かった」ということになるが、迷ったあげく見送っていたとしたら「待ってよかった」となる。微妙な分かれ道だ。
 この底型について、もう少し解説を加えよう。
 Cのあとの戻りからDにかけての連続陰線は、ルール3の6連続陰線に当たる。
 この銘柄は、Aで安値圏に到達し、5年間に及ぶ底練りの末期でCの1番底、Dの2番底プラス6陰線で「整理がついた」ことが確認できる。
 また、Dのあとの2003年の上げを“兆し”とみることができ、04年に一時200円を超えたところで完全に上げトレンドに入ったと判断することができる。
 
1-8.jpg
(引用おわり)
 
2008表紙_300-枠グレー.png新刊 『【徹底解説】FAI投資法 完全ルールブック』
 
絶賛発売中!
 
 
 

 本文の紹介 3  2章 三角形 から「ムリに線を引かない」

チャートにトレンドラインを引く──多くの投資家が自然にやることですが、意外とムチャな線の引き方をする人がいます。

トレンドラインを引くときの大原則とは?
わかりやすく解説しています。

(本文の引用ここから)

ムリに線を引かない

 「三角形」が形成されると、非常に強いシグナルとみなすことができる。また月足を集合形で見るときに、三角形というのはとてもわかりやすい。
 また、三角形とはいえなくても、「保合で徐々に小動きになる」形は、月足でよく見られるシグナルだ。
 だが、実際にはシグナルとなり得ないケースで、「これは三角形だ」とムリな解説をしていることが多いと思う。
 この項では、ありがちな誤った三角形の例をいくつか挙げて説明する。
 まずは、きれいな三角形といえるものを示す。
 前項で紹介した5122オカモトである。
 ちなみにオカモトはしっかりと三角形を形成しているように思えるし、業績や財務の面でも優良だった。
 だから当時、買い銘柄にしてもよいと考えたFAIクラブのメンバーも多かったのだ。
 だが価格が中途半端に高いので、ほかの安い銘柄を選んだほうがよいという考え方があり、見送られた経緯がある。
 
2-3.jpg
 
 次にダメな線の引き方を示す。
 5476高周波の月足に引いたような線ならば、どんなところにも引くことができる(次ページ)。
 つまり、何の意味もないところに線を引くことが可能なのである。
線を引かなくても三角形が見える形が、真にシグナルと認められる三角形なのだ。
 
2-4.jpg
 
 しかし、線を引かれた月足を見ると、三角形は強いシグナルだという認識で待ち望む気持ちがあるから、「うん、三角形か」と安易に納得してしまうかもしれない。
 だから、注意が必要なのだ。
(引用おわり)

 本文の紹介 4  3章 兆し陽線 から「兆し陽線の基本イメージ」

これこそ、月足ならではの観察法、これ以上わかりやすい上げのシグナルはないというものが、「兆し陽線」です。

(本文の引用ここから)

兆し陽線の基本イメージ

 決まり切った形が出ないのが株価のチャートだから、イメージが大切である。
 「安値で陽線が出れば兆し陽線」というわけではない。
 「長い陽線が出現すれば兆し陽線」というわけでもない。
 下げの途中で大きな反発をみせることもあるし、安値圏に到達したあとでも、往来の中で目立つ陽線が出現することがある。
 こういった陽線を個別に見ていると、いたるところに兆し陽線が見つかってしまい、買ってはヤラレ買ってはヤラレの悲劇を生む。
 大切なのは、大きな目で観察することである。FAIルールの最初に示されている大原則を思い出してほしい。
  • ルール1 4~5年下げ、3段下げ完了の銘柄を買う
  • ルール2 底練りの中の2番底形成を待つ
 これら2つの条件を満たしたものが、FAI投資法で具体的な検討を行うことのできる銘柄なのだ。箇条書きで、わかりやすく示してみよう。
  一定の期間、下げている
  底練りをみせている
  底練りの中で整理が進んだことを感じさせる
 シンプルなイメージとして頭にインプットするには、「整理が進んだ」という言葉が最適ではないかと私は思う。
 下げて安くなっただけでは、高値で買ってあきらめきれない人がたくさんいる。いわゆる、因果玉がたっぷり残っている状態だ。
 なおかつ、新たに注目して買いを検討する人が少ない。価格が安いことを理由に買う人が出現しても、因果玉が多すぎてワクワクするような上げ方をしないから、本腰を入れて取り組むには至らない。
 しかし底練りが続く中で、少しずつ因果玉の整理が進む。
 つまり、「もうダメだ」とあきらめて投げるのである。
 こんな暗い状態が、ひたすら続くのだ。そして整理が進むにしたがって、ドタバタと上下する動きが少なくなる。
 そのうち、しっかりと地に足をつけた雰囲気の2番底とか、徐々に動きが収れんする三角形とか、わかりやすい形が出現する。
 こうして上げトレンドに転換する素地ができた状態を示すのが、ルール1とルール2の文言だ。こういう状態だからこそ、少し長めの陽線を見て「上げトレンドへの兆し」ではないだろうか、という観点につながる。これをイメージで示すと、下図のようになる。
 実例として、2109三井製糖が2004年にみせた「兆し陽線」を次ページに示し、各ルールの詳しい説明は次項以降で行う。
 
3-1.jpg
 
3-2.jpg
 
(引用おわり)
 
2008表紙_300-枠グレー.png新刊 『【徹底解説】FAI投資法 完全ルールブック』
 
絶賛発売中!
 

 本文の紹介 5  4章 買い時 から「陰線2本押し」

多くの投資家が「安く買う」ことばかり考えますが、月足で長期トレンドを捉えていれば、「上昇する期間、買い場となる押し目はいくらでもある」と落ち着いてタイミングを計ることが可能です。

(本文の引用ここから)

陰線2本押し

 押し目買いには、「上げの途中は、目先下げたところで買えばいいんだ」という気楽なイメージがある。しかし下げてきたところを逆張りで買うのだから、不安もある。
 「今週よりも来週、いや来月のほうが安いのではないか」
 「押しで終わらずに、前の安値まで下がるかもしれない」
 ジワジワと下げていれば、いざ買おうとしても上記のような不安を感じるものだ。ところが1日でも上昇すれば、こんどは買い損なう不安が生まれたりする。「モタモタしていると、切り返してガンガン上がっちゃうかも……」といった具合だ。
 人気が離散して動きがおとなしい底練りは、ある程度まで「型」にはめて観察することができる。しかし、あくまでもある程度までである。逆に高値圏は動きが荒いので、型で見ることが難しい。
 会社の業績も材料も関係なく、人気だけで極端に株価が上下するのが高値圏の特徴だ。
 さて、兆し陽線が出た段階はどうか。相場が動き始めたばかりだから、パターン化したイメージが少しは通用する。それが、「陰線2本の押し」である。
 実際に、FAIルールにもこの文言がある。
  • ルール7 安値に来ての5連続陽線は買いの準備。次の2連続陰線をみてから買い
  • ルール8 底練りの中で小動きになったあとの兆し陽線に注意。そのあとの陰線2本をみて買い
 兆し陽線のあとは陰線2本で押す、だから陰線2本でかるく下げたところを狙って買え、と書いてあるのだ。
 ケースバイケースだし、場帳を見ながら買い場を考えることになるのだが、月足では陰線2本を目安にしろ、といっているわけだ。
 しかし兆し陽線が非常に長い場合や、1本の兆し陽線で終わらずに陽線が続いて大きく上がってしまう場合など、現実ではさまざまなパターンがある。だから、何も考えず機械的に「陰線2本」では通用しないだろう。あくまでも目安だ。
 以下のようなイメージである。
 
  十分な期間の底練りをみせた
  兆し陽線が立った
  かるく押した
  短期間のもたつきをみせた
  場帳を見ながら、適当と思えるときに買う
 
 少し古い統計だが、1段上げのあとの保合は7カ月を超えないようだが、期間には幅がある。それに比べ、ごく初期の押し目、ここで解説している「兆し陽線後の押し目」は短期間で終わることが多く、「2本」という数字は一応の助けとなる。
 押し目の実例を、119ページと120ページに掲載する。
 どちらも、85年に底値から立ち上がって短期的に押している(後者は陰線1本と短い陽線)。そのあと1段上げに向かい、期間が読みにくい動きに変化して大きな押し目をみせている。
 
4-3.jpg
 
4-4.jpg
 
(引用おわり)
 

 本文の紹介 6  5章 買い方 から「タコの糸は出し切るな」

たとえ予測の的中率が高くても、資金管理が不適切だと、運用は成立しません。

「FAI投資法」は、うわべだけの予測法ではありません。
誰にでも実行できる、わかりやすい基準を示し、プロが考える資金管理を実現させてくれます。

(本文の引用ここから)

タコの糸は出し切るな

 FAIルールの付則には、次のように書かれている。
  • 付則2 資金の2割以上は常に余裕を持つ
  • 付則3 信用取引買いは絶対禁止
 ここでは、これら2つのFAIルール付則を基に「資金稼働率」について考えてみる。
 信用取引というのは多くの投資家に、なかなか魅力的なシステムとして認識されていると思う。
 しかしその最大の理由が「売りができる」ではなく、「資金以上のポジションを取ることができる」であるから、まずはこの部分について警鐘を鳴らしたい。
 信用取引で株を買う場合、保証金率は30%だから、現金を担保にすると資金の約3.3倍のポジションを持つことが可能だ。
 ちまたの人がベテランぶった知人から教わり、「初心者は現物で売買する」「何回か経験したら信用取引で勝負する」という勘違いをするケースは非常に多いようだ。
 数回売買しただけで資金の2倍も3倍もの取引をしたら、あっという間に資金が激減するのは間違いない。
 みなオトナだし、それぞれの人生経験から「なんとなく危ない」と感じるから、ほとんどの人は資金を抑えて信用取引の“勝負”に臨む。だから、負けたとしても金額的には限度があるのだが、この取り組み方が別の悲劇を生むこともある。
 例えば10万円とか20万円という少額の資金で、「無くなったら、また資金を用意すればいい」などという認識だと、乱暴な売買をしてそれを自分のクセとして自分自身に刷り込んでしまうことになる。こういうパターンは、FX取引で多くみられるようだ。
 FAIルールに話を戻す。
 「信用取引の買い」が禁止、しかも“絶対禁止”と強く書かれているのは、そもそも資金目一杯の売買をしたら、わずかな見込み違いが大ケガにつながるからである。
 だから「2割以上は常に余裕を持つ」と書かれているし、金利がかかる信用取引の買いなどもってのほかである、ということだ。
 相場の資金とタコの糸は出し切るな──。この相場格言の通り、余裕のない売買は少しの狂いから大きく崩れていく。イヤな例を出すことになるが、昔の「客殺し」の手口を考えるといい。
 顧客の注文を呑む、つまり注文を場に出さずに“向かう”場合、顧客の損金はそのまま証券会社(商品会社)の利益になる。
 では、注文を呑んで意図的に損をさせようとした場合にどうするのかというと、「損するであろう方向にポジションを取らせる」わけではない。
 そんな器用なことができるのなら、最初から自己の資金で売買すればいい。実は、顧客に確実に損をさせるには、単に「目一杯の売買」をさせるだけでよいのだ。
 たとえ予測が当たり続けたとしても、ちょっとしたアヤで狂いが生じ、最後は大きな損になるからである。
 
(引用おわり)
 
2008表紙_300-枠グレー.png新刊 『【徹底解説】FAI投資法 完全ルールブック』
 
絶賛発売中!
 

 本文の紹介 7  6章 企業価値 から「PERは機能しない」

ちまたの「オススメ銘柄」情報では、都合よくPER(株価収益率)が使われます。
しかし、本当に機能する指標なのでしょうか・・・

(本文の引用ここから)

PERは機能しない

 業績や財務内容と株価を比べる“断面的”な見方で、割高、割安を判定しても、実践的には意味がない。
 例えば、2020年4月24日大引における、PER(株価収益率)ランキングの一部を見てみよう。
 「PER」は「PriceEarningsRatio」のことで、株価を1株利益(正確には、1株あたり当期純利益)で割った値だ。だから、数字が大きいほうが割高、小さいほうが割安、ということになる。
 
6-1.jpg
 
 最初の表「高PER」は割高なほうで、トップのMUTOHは1,971倍にまで買われていることを示している。割安な「低PER」のトップはサンデンHDで、0.98倍にしか買われていない。
 会社予想を基にしたランキングだし、上位の銘柄には特殊な理由があると考えるのが自然だ。だが高PERと低PER、それぞれの50位(表の最下段)を比べても、25倍超の開きがある。
 新聞には「日本株は14~16倍が適正」などという専門家の意見が紹介されているが、これほどまでにバラバラな状態なのだから、要するに「収まりのいい値はない」ということだ。
 適正値があるのなら、たった1日の取引で個別銘柄の株価が10%、あるいは20%も変動する事実を説明することができない。
 PERは、なぜか世界中で株価の解説に使われているが、実践家でPERを重視している者は少ないだろう。FAIルールでも、前述したように、経常利益の「推移」を限定的に評価しているだけだ。
 
6-2.jpg
 
 もし読者が少しでもPERを気にしているようなら、今すぐに脳から消し去ってほしい。
 ただし、ルール17で経常利益の変化を見るのと同様に、例えば1株利益の「変化」をチェックするのは、原則通りに月足の観察を中心としていれば自然なことだと思う。
 
(引用おわり)
 

 本文の紹介 8  7章 売り時 から「イヤな感じの両抜き陰線」

よくある無責任な予測法は、「ここで買い」と言い放って終わり……予測どおりに上昇しようが、その予測が外れようが、それきりです。
しかし、それでは実用に耐えません。

月足ならではの「売り方」「売り時」とは?
長期トレンドが上昇でも、いったん売って買い直しを図るべきケースでは、積極的にポジションを動かして対応します。

(本文の引用ここから)

イヤな感じの両抜き陰線

 売買で大切なのは「区切り」である。だから少なくとも慣れていないうちは、「利が乗ったら売ればいい」というくらい、少し乱暴なイメージでちょうどいいと思う。
 またこのイメージは、慣れてからでも有効だと説明しておきたい。
 以上のことを実践のポイントに置き、そのうえで個別の手仕舞いルールを考えてほしい。では、個々のルールの解説を続けよう。
  • ルール23 1段上げでも、2段上げでも、陰線の両抜きが出たら(出そうでも)いったん利食い
 「両抜きの陰線」とは、次ページ図のように、ローソク足で陽線の次の陰線が長く、上下に抜けている状態だ。説明するまでもなく「弱い」足に見えるだろう。前の月の上げを引き継いで始まったが月の途中で下げ、下に抜いて終わってしまったのである。
 ルール15の「3本目の陽線の半分以下に陰線が食い込んだら…」という状況を含んでいるが、あらためて“ひと相場の終わり”となるパターンを示して手仕舞いを強く促しているのだ。
 
7-4.jpg
 
 8059第一実業、2013年5月の陰線がこれに該当する(次ページ月足の矢印)。
 実体部分では上値が同値だが、連続した陽線でひと相場をみせたあとに長い陰線が出現し、いかにも“終わった”という姿になっている。
 結局、陰線3本で下げ、400円前後で止まった感じだが、最初の陰線で「少しの間、日柄整理があるかもしれない」「いったん利食い」は正解だといえる。
 このケースについて、実際に2012年の11月か12月に買っていると考えてみる。
 13年の3月から5月前半の高値圏で利食いしていれば最高だが、さらにねばっていたら、5月後半か6月初旬の400円台前半に差し掛かったところで、ルール23を頭に浮かべて遅れて売る、ということになるかもしれない。
 もっと手前の1月か2月に売るのと、手仕舞いの値は変わらない。早めの利食いはストレスが少なく資金効率が良いといえそうだ。
 
7-5.jpg
 
(引用おわり)
 
2008表紙_300-枠グレー.png新刊 『【徹底解説】FAI投資法 完全ルールブック』
 
絶賛発売中!
 

 本文の紹介 9  8章 カラ売り から「下げ相場のガマン」

「下げ相場は速い」といいますが、それは短期的に切り取ったときの感じ方です。
実際に長期トレンドを見ると、相場を出したあとの下げ相場は、長く、暗く、陰湿に継続するのです。

こういったことも、月足を丁寧に見ることで理解できる大切な認識です。

(本文の引用ここから)

下げ相場のガマン

 付則1にある「資本金300億円以上の銘柄のうねりを見て行う」は、とても実践的だ。突飛な動きをしがちな小型株を避けろ、天井における振幅をよく見ろ、ということだ。
 これ以上の説明がないのは、月足の形や型で説明することが難しい天井についてのことだから、無理やりに言葉を連ねることができなかったと素直に解釈することもできる。
 実際、カラ売りをスタートする天井圏は動きが荒くてつかみどころがないかわりに、長期の安値に向かって下げていく過程はとても自然な流れだと説明できる。
 上げ相場には大きな力が必要だ。しかし、その大きな力が弱まるだけで、株価は下げていく。
 床にある物体を持ち上げたあと、力を抜くだけで、物体は重力で床に落ちる。上げ相場の不自然な力で、株価は「実力+人気」の高い水準に持ち上げられる。実力のみの安値に落ちていくときの動きこそ自然、というまとめ方が可能なのだ。
 「カラ売りは、目先の底入れ後に急騰するから危険だ」という説明を目にすることもあるが、短期的な戻りで追い込まれてしまうほどムリな張り方をしていたり、カラ売りでの逆行に怯えすぎているのではないだろうか。
 FAIルールの通りに小型株を避け、長期のトレンドをうまくつかまえて売りポジションを取れば、買いのルールに示されているような「4~5年下げ」「2番底形成」「底練り」「6連続陰線」といった状況が出現するまで、放置しても安全なはずである。
 高いところから落としたゴムボールが床に着くと、最初は大きくバウンドする。売り方の多くが恐怖を感じる短期急騰だ。
 だが、時間の経過とともに徐々にバウンドは低くなり、最後は床の上を静かにゆっくりと転がっていく─底練りが続く中、だんだんと小動きになる過程である。
 次ページに、下げ相場の実例を示す。
 かつて、FAIクラブで買い選定した5631日本製鋼所だ。
 89年の天井から大きく下げ、ダラダラと続く陰気な底練りの末期でダメ押しをみせる流れは、下げ相場のイメージを頭にインプットするために最適な典型といえる。
 再三述べているように、典型こそレアケースだし、日本製鋼所はFAIルールの付則にあるような大型株ではないが、実にわかりやすい動きで、そのまま記憶にとどめるのに値すると思う。
 90年代の下げ相場では、92年から96年まで、大きな中段の往来や極端な戻りをみせる銘柄が多く、カラ売りを継続するのも買いをガマンするのも難しかった。
 06年からの下げも、対応するのが困難だった。
 これが現実である。
 だが、トレンドが下げから上げに移る、時間のかかるプロセスを理解しておくだけで大きな助けとなるし、対応するためには資金量や稼働率の調整も必要だと考えさせられることで、実践的な知識に深みが増すと思う。
 
8-1.jpg
 
(引用おわり)
 

 本文の紹介 10  9章 注意点 から「どの銘柄を買うか」

私たちは実際に、多くの銘柄の月足を毎月描き足し、それを持ち寄って討論して銘柄を選定しています。
でも、「黙って買えば儲かります」なんて、いいかげんなことは言いません。

「FAI投資法」の考え方を理解したうえで『研究部会報』に掲載する銘柄をゆっくりと追っていけば、個人投資家としての能力が高まっていく──わたしたちが常に考えている大切なゴールです。

(本文の引用ここから)

どの銘柄を買うか

 FAIの買い銘柄は、2020年5月現在で33銘柄(倍化達成銘柄を含む)ある。この中から、最高24銘柄を限度に買う銘柄を選ぶのは、実践者の裁量である。
 なるべく多くの月足を見て、長期波動を追うことに慣れれば、自然と自分の好みが生まれる。最初はわからなくても、「見つけよう」と考えていれば必ず前進する。
 
9-2.jpg
 
 だが、慣れても悩みは消えない。それどころか、経験を積めば積むほど悩みが増えるのが相場という行為だ。
 ただ、考え過ぎて迷いが生じると混乱するので、自分なりに決めなければいけない。最後は理屈抜きで「えいやっ」といくしかないのだが、ヒントがほしいというのが実際ではないか。
 資金が小さい人は以前、安値の銘柄を中心に選ぶことが多かった。
 400円(かつての定位株の基準)近いものを1,000株単位で買うと、銘柄数が少なくなってしまうからだ。
 資金量を増やすのが理想だが、背伸びしたらケガのもとなので、これはこれで正解。ある意味、自然に行動の「枠」が決まるから都合がよかった。
 だが、100株単位で買えるようになったから、選定後に1,000円まで上昇したって10万円で1単位買える。
 例えば200万円あれば、上限の8割を稼働させると160万円だ。この160万円で20銘柄を手がける場合、平均単価を400円とすると、各銘柄を200株ずつ買える。100株買い、100株買いと、2回の分割が可能ということだ。
 制約が減ってやりやすくなった半面、資金が大きい人と同じように考えるべきことが増えたわけだ。しかも「いつでも途中」なのだから、悩みは尽きない。
 「わからないから、選定して間もないものを買う」という人がいる。逆に、「選定後、期間が経過しているのに上昇していない銘柄を狙う」という人もいる。
 どちらも、あまり賛成できない。
 「FAIクラブで選定した」というのは、単なる個人的な都合だ。そんなことを、マーケットは聞いてくれない。だから、合理的な判断基準ではない、というのが正解である。
 次項で、具体的なヒントを示そう。
 
(引用おわり)
 
2008表紙_300-枠グレー.png新刊 『【徹底解説】FAI投資法 完全ルールブック』
 
絶賛発売中!
 
 

林投資研究所投資助言・代理業 関東財務局長(金商)第2602号
一般社団法人日本投資顧問業協会会員

〒162-0041 東京都新宿区早稲田鶴巻町571 #702 TEL 03-5261-5101  FAX 03-5261-5102

※ご注意:林投資研究所は、証券取引行為や金銭・有価証券の預託貸付は行いません。