場帳/玉帳

場帳/玉帳

場帳(ばちょう)

日々の動きは場帳で確認

月足は長期の変動を見るうえで便利ですが、細かい動きを見ることはできません。しかし、日足(ひあし)チャートを併用すると、異なる基準で描かれた2種類のチャートを同時に見ることになり、混乱します。
そのため、月足と場帳(ばちょう)の併用で、月足は中長期のトレンド、場帳は細かい値動きと売り買いの決定、と役割を分けるのです。

一貫性のある売買を実現

相場技術論では、価格変動に対する個人的な感じ方を大切にします。売買の事前準備は、相場から離れて理論的な計算で行います。しかし実際にポジションを持って日々の値動きの中に身を置くと、計算したことを合理的に実行するのは困難です。

相場技術論の考え方では、個人が持っている資質だけで一貫性のある売買を展開しようとします。そのために、日々の終値をシンプルに数字で記した「場帳」を使うのです。

一貫性のある売買を実現

短い時間で決断する

売買資金や稼働率の設定などは、事前に決めておく事柄です。これらは、ポジションのない状態で行う「計算」です。
値動きへの対処、つまり売買戦略も、事前に決めておきます。しかし価格は予測外の動きをするので、実際の動きを見ながらポジションの取り方を微調整します。

この微調整は、計算ではなく感覚で行うほうが簡単です。
場帳に終値を書き入れ、前日までの動きの感じに新しい情報を加えます。そして、サッと決断するのです。

短い時間で決断する

情報が少ない、だから実用性が高い

相場では、大切なおカネを直接動かします。だから、つい情報集めに傾いてしまい、結果として迷いが増えてしまいます。
場帳は一見、情報が不足しているようですが、実践における最終的な決断の場面では、あえて情報量を減らすことが有効なのです。
経験のある相場師の多くが、「場帳がなければ何もはじまらない」と明言しています。ぜひ実際に場帳を使って、プロが行う日々の売買決断を体感してみてください。

変動感覚と決断

売買で狙う基本的なトレンドや日柄は、チャートで確認します。そして売買戦略を決めます。しかし最終的な売買のタイミングを決めるときに多くの判断材料をチェックするのは、現実的なことではありません。
日常の生活や仕事と同じように、最後の判断は、経験に基づいた感覚で反射的な判断を行う必要があります。

短い時間で決断する

場帳に書き込んである数字を見て、そこに終値を書き入れます。そして、一瞬で判断するようにします。この作業を続けることで、変動感覚が身につきます。
実際に場帳を見て判断するのは、以下の4つです。

  • 買う
  • 買わない
  • 売る
  • 売らない

もし10,000株まで買う予定で、すでに4,000株買っていたとします。
この状況で場帳を見て「今日は何もしない」と判断したということは、「買いポジションを増やさない」という判断と同時に「現在の買いポジションはそのままにする」という決断をしたということです。

迷いをなくす

場帳をつけてサッと決断するクセをつければ、迷いがなくなります。相場の先行きは誰にもわからないので常に悩みを抱えているのがふつうですが、迷いがあるとわれわれは、次々と判断材料を増やして迷路に入り込んでしまいます。

そこで、日々の動きを見ながら最終的な判断を下す部分、つまり「実行」と、基本的な作戦を考える部分、つまり「戦略」を分けておくのが適切な取り組み方なのです。
個人投資家は、すべてを独りで考えて売買を進めます。しかし場帳という道具を使うことで、「売買の準備」的な部分と「実行」を分離し、複数の人間による合理的な分業と似たような効果があると考えています。

玉帳(ぎょくちょう)

売買の記録

玉帳とは、売買の記録をつける帳面です。
林投資研究所オリジナルの玉帳用紙は、次の3つのものを同時に書き込んで一目で確認することができます。

  • 現在のポジション
  • 売買の経緯
  • 取引口座の現金残高

玉帳に、ポジションの変化、ポジションの決済、入出金、そのほか現金の増減をすべて書いておけば、同じ用紙に口座内の動きが完全に記録されるだけでなく、売買の流れも完ぺきにつかむことができます。
個人投資家は、単独で売買をします。ですから、帳面をつけて客観的な目を持つことは、とても大切です。きちんと帳面をつけるようにしましょう。

玉帳(ぎょくちょう)
玉帳(ぎょくちょう)

玉帳の効用

  1. 過去の売買を冷静に分析し、先々の戦略に活かす情報が得られる
  2. 現状がきちんと把握できる
  3. 売買の流れを見ながら、相場と自分の感覚のズレに早く気がつく
  4. 「資産を運用している」という意識を持ち、自然な緊張感が生まれる

記入項目

  1. 銘柄
  2. 売買の日付
  3. 株数
  4. 約定価格
  5. 受渡代金
  6. 口座残金の増減(売買、入出金などすべて記す)
  7. 損益(個別、月間)

玉帳記入例

記入例を示しました。

一貫性のある売買を実現

競馬で勝ちが続くと金額を手帳につけ、そのあと負けが続くと記録をやめてしまう──そんな人を見かけたことがあると思います。
ポケットマネーで競馬を楽しむだけならいいのですが、相場では気分による行動のムラは楽しみではなく苦しみにつながります。自分の戦略を淡々と進めるために、売買を玉帳に記録したうえであらためて見るという作業が意味を持つのです。

玉帳をつけていると、売買の記録がたまっていきます。ですから一定期間が経過すると、見づらくなってしまいます。年度末にはいったん玉帳を締めて、残玉と現金残を新しい用紙に書き写して次の年に備えます。