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老後2000万円 まとめ

7月5日 第3篇を追加!
 
「人生100年」時代には、95歳まで生きた場合、夫婦で約2,000万円の金融資産を取り崩す必要がある──金融庁の金融審議会(市場ワーキング・グループ)の報告書「高齢社会における資産形成・管理」(2019年6月3日発表)で示された試算です。
 
政府はウソつき、カネのない人間は死ねというのか……多くの人が感情的に反応して炎上騒ぎになりました。
 
はたして、私たちにとってなにが重要でなにが雑音なのか──多くの非難は切り口が筋ちがい、でも報告書にもツッコミどころがある、こう考える林知之が、勝手にまとめてみました。
 
 
 
 
 

 

 

第1篇 まずは状況の整理

6月18日公開

 1.報告書の中身は政策ではない

 
この報告書は、大学教授や金融に携わる専門家が集まってまとめたもので、招集された委員の意見・提言です。まずは、この点を踏まえて冷静に受け止めたいものです。
 
報告書の中で、問題となっている部分はどんな表現だったのでしょうか。
 
「高齢夫婦無職世帯の平均的な姿」として「毎月の赤字額が約5万円」と述べています。そして、年金収入だけだと、老後の30年間の消費額のうち約2,000万円を貯蓄から回すことになるという数字を示しています。これは、事実に基づいたロジカルな計算結果で、多角的な分析の中に盛り込まれた一要素だと理解できます。
 
また、「標準的なモデルが空洞化しつつある以上、唯一の正解は存在しない」と繰り返し、「自分ごととして捉える」という視点を強調しています。「ひとりひとり状況は異なるので、分析して自分の戦略を立てましょう」ということです。丁寧な姿勢で、老後への不安という感情の部分にも触れていると感じ取れます。
 

 2.役所の文書だが、官僚の意見でもない

 
報告書の文章には、読み手の感情を計算する部分が足りなかったかもしれませんが、「ふつうに行動して満足できる未来をつくろう」という提言で、「自助努力が自分の利益になる」という自己責任の原則を示しながら資産運用を考えるよう促しているのです。
 
また、「過度のリスクを取るべきではない」「金融の知識を身につけよう」「金融業者も姿勢を整えろ」と当然の言葉が並びます。「報告書にもツッコミどころがある」との私見を述べたのは、「専門家の提言」という建前の裏に、官僚の意図が反映されていると考えるのが妥当だからですが、プレーンに捉える限り、まっとうなメッセージです。
 
官僚の意図=悪、などという乱暴な前提ではありません。念のため。
 

 3.目新しい情報ではありません

 
すでに多くの専門家が指摘しているように、報告書で「年金が危うくなってきた」などと述べている部分はありません。淡々と、ひとつの例を示しているだけです。
 
しかも、計算の根拠となった数字は、以前から世間に出回っているものです。
 
インターネット上の情報からたどり着いたのは、2016年に総務省が公表した「家計調査年報」です。そこには、高齢夫婦無職世帯の収支が示されています。毎月の実収入212,835円(うち90.7%が社会保障給付)、消費支出237,691円、非消費支出29,855円、差し引き不足額が毎月54,711円となっています。
 
今回、ワーキング・グループに資料を提出したのは、厚労省と報道されています。
 
さらに、ずっと以前、当時の郵政省による資料でも、老後の不足額について触れていると指摘されています。ノンフィクションライターの窪田順生氏は、次のように述べています。
 
「例えば、1984年、郵政省が出した資料の試算によると、当時の60歳以上の預金目標額は2050万円だが、実際の60歳以上の平均預金は884万だった。そして、当時の平均余命から60歳以上が亡くなるまでの約19年で必要とするのが5885万円と試算し、その19年間の厚生年金支給額が概算で3265万円なので、不足額が2619万円だとそろばんを弾いている」
 
 

 4.野党議員さんも知ってたでしょ?

 
過去の事実を持ち出すまでもなく、老後に適度な娯楽まで賄うには年金だけでは足りないといわれてきた経緯があるので、「そんなことは聞いていない」とばかりに政府を非難する野党の姿勢には疑問を感じるしかありません。
 
保険会社が年金商品をセールスするためにも、前項で紹介したような試算を利用しています。どうしても、ちょっとおどかすような表現に傾いているものもあるようですが……。
 
金融商品の販売にからまない立場の専門家も、「年金だけで老後ラクラクとはいきません」というメッセージを、けっこう前から発しています。試算の方法によって数字はバラけますが、1,500万円だったり3,000万円だったりと、まとまった金額を意識すべきと主張しています。
 
とにかく、問題視されている部分は周知のことで、一時は政権を担っていた野党議員まで政府を攻撃するさまは、茶番にもなっていないのです。
 

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 5.麻生の親分さん、それはないよ

 
野党の姿勢にも疑問があれば、政府与党のみなさんの発言もいただけません。
 
問題の報告書は、最終的に金融審議会総会を経て大臣に提出される予定のものだそうで、そのプロセスを通過する前にネット上に公開されたということでしょうか。それならば、麻生大臣が当初、「読んでいない」と答えたことに問題はないと思うのですが、蓮舫議員は「読んだら5分で終わる報告書を読んでいない?」とかみつきました。彼女も読んでいないことが露呈しただけでした。
 
【加筆】(6.21)
報告書は、各種のデータもあって51ページにおよぶものです。
蓮舫氏が言ったように「5分で読める」ものではありません!
国会議員の仕事は、法律をつくることです。「一緒に読んで状況を分析し、国民生活を向上させる策を考えましょう」と言ってほしいものです。
 
しかし、麻生大臣が、読んでいない段階で内容について「不適切だ」と発言した根拠はなにか? と首をかしげてしまいます。
 
しかも、その後、「受け取らない」と・・・子どもがダダをこねているようです。
 
第1項(「政策でもなければ官僚の意見でもない」)で述べたように、報告書に示されたのは政府の政策ではありません。麻生大臣は報告書をよく読み、「委員からの意見は受け取った。必要なことがあれば政策に盛り込む」とコメントするべきでした。
 
こんなグダグダなやりとりでスタートしたので、ちょっとだけ無防備でいると、議員同士のコドモのケンカが「意義ある政治議論」に聞こえたり、自分自身の老後よりも今回の騒動の「犯人は誰だ」なんてことにフォーカスしてしまいます。
 
どうせなら、国会中継を、もっと質の高いコントにまとめてもらいたいものです。
 

 6.「切り取り報道」が招いた混乱

 
そもそも、炎上の引き金は、流行の切り取り報道や野党の言いがかりです。
そんな経緯はともかくとして、また、報告書の内容や表現に問題があったとしても、金融庁を所轄する大臣、すなわち上司として、誤解されている部分を丁寧に説明するのが仕事のはずです。
 
親分がこんな姿勢では、金融庁の職員も、金融業界の人たちも、正面からものを考えて行動できなくなってしまいます。麻生大臣は公の場で、「現場で作業していた人たちがもう少し丁寧にやればよかった」と述べましたが、丁寧さに欠けるどころか無礼きわまりない発言をしたのは、あなたですよ。依頼主の長が、「不適切」「いらない」などと言ってはいけません。
 
先ほど「切り取り報道」という言葉を使った背景には、大手メディアの姿勢がひどく偏っているとの認識があります。時として、やみくもな政府批判をぶちかますなど、多大な影響力をもつ報道機関としてハレンチであると感じることさえあります。
 
でも、番組によっては、「年金が破綻とか誰も言ってないよ」「人それぞれだから、落ち着いて自分の将来を考えましょう」とプレーンな意見を紹介しています。かたや、「年金は破綻する」との見解を示す人もいます。
 
「まとめ」と称してブログを書きながら、こう言うのもなんですが、どちら側の意見も疑いながら情報を集めてみてください。
 

 ◎いったんまとめ(まだ途中)

 
いかがでしょうか。
 
「老後」「2000万円」「赤字」「年金では足りない」……え~っ、なんだかくら~い話じゃないか、お国は面倒見てくれないのか。。。単語だけが独り歩きした結果、「国民全員が必ず2000万円の貯蓄をつくらないといけない」みたいな気分になるのもムリはないと思います。
 
でも、私たちにとって大切な問題です。
悪者探しよりも、報告書の言葉を拾って「自分ごと」として考えてみるべきです。
 
さて、今回の件でとりあえず考える要素は、ほかにもあります。
そもそも、「報告書にもツッコミどころがある」と述べながら、まだツッコミを入れていません。
 
近日中に、つづきを書いて、このブログに追加します。
 
2019年6月18日
林 知之
 
 

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第2篇 報告書のあら探しをしてみよう

6月25日公開

というわけで、「老後2千万円赤字問題まとめ」のつづきです。
「いい内容じゃないですか」と肯定した報告書について、ツッコミどころも挙げました。
 

 1.「平均」が不適切だったのか

 
独り歩きして炎上につながった言葉は、「2千万円の赤字」です。
これは、単なる平均でありながら現実の数字だというところがポイントです。
 
「年金だけでは足りないかもしれませんよ」
「自分の状況をちゃんと計算してみましょう」
こういう提言です。
 
でも、「平均」なんですよね。
 
まず、老後の生活にいくら必要か。
人によって、状況によって、必要な金額もちがえば、使いたい金額もちがうでしょう。
 
数字が独り歩きしてしまった試算例は平均、つまり、ただの「中央値」です。分布状況も示されていません。この点について、不満をもらす向きも少なくないはず。
 
数字を示してハッとさせ、個人個人が積極的に考えるきっかけにしたつもりでしょうが、素直に受け取りにくい表現だったかもしれません。この部分が第一のツッコミどころですが、麻生大臣が上手に補足すればよかったことだと思います。
 
 

 2.前提が異なる

 
「なんだ、ツッコミってそんなもんか」
「ワーキング・グループの回し者かよ」
 
こう思われたら、それこそ誤解なので、報告書をひとつの“まとまった文章”として、ちまたの本、いわゆる単行本と比較してあら探しを試みます。
 
最初にアップした部分の第1項で、次のように述べました。
 
「報告書は建前上、専門家の提言、でも官僚の意図が反映されていると考えるのが妥当」
 
報告書は、金融庁に依頼されて委員が行動した結果です。良しあしの問題ではなく、役所のカラーが出るのが当たり前です。では、役所のカラーとはなにか?
 
役所が出す文書は、必要なことが、もれなく盛り込まれています。論理的なスキはありません。ある意味、とてもクオリティの高いものです。ただし、私たちがふだん、友だちや取引先に「これこれこうで、こうですよ!」と理論と感情の両面で伝えようとするノリはありません。
 
別の角度からいえば、「最後まで読んでもらえる」ことが前提の文章で、淡々と情報が並んでいるのです。
 
それに対して、ちまたの単行本は、わざわざ買った人でも全員が最後まで読むとは限りません。ましてや、例えばセールス用の資料なんて、受け取った人は「めんどくさい」と感じるので、最初の1ページでガツンとくらわせて食いついてもらわないと、2ページ目に進みません。
 
 

 3.“読みもの”としてのクオリティ

 
最後まで読む人は意外と少ない──だから、プロのライターは、「最後まで読む人をどうやって増やすか」という切実な課題を抱えながら文章をつづります。そうして工夫されたものが、ふだん私たちが接している読みものなのです。
 
もちろん、今回の報告書も、読む人に十分な配慮をした内容だと私は思います。2千万円不足と数字を示しながらも、「標準的なモデルが空洞化しつつある以上、唯一の正解は存在しない」といった表現で、誤解が生じないよう努めていると感じます。
 
ただ、世の中で競争している数ある“読みもの”と比べたら、弱い部分は否めません。老後の現実というデリケートな問題を突きつけるためには、もう少し計算高い説明があってもよかったといえます。この点において、麻生大臣の発言、「現場で作業していた人たちがもう少し丁寧にやればよかった」は数割程度、当たっていると思います。
 
麻生大臣には、ほか一連のコメントで、「あなたにケチをつける資格はない」との判定が下りましたけどね。
 
ちなみに、一般の読みものは、競争の中で興味をもってもらうため、タイトルなどの“顔”を工夫します。読む人の“前提”を操作しようと試みます。
 
今回の報告書に、いい感じのタイトルをつけたらどうなったでしょうか?
 
あなたにピッタリの資産運用を見つけよう!
~ステキな老後のために~
 
良案が浮かばないので、もうやめますが、本来は地味な存在の文書が異常なまでに注目されたため、「報告書」というプレーンすぎるタイトルが、ゆがんだツッコミどころを与えただけでなく、無用な不安まで生む結果につながったのかもしれません。
 
 

 4.なんだか短絡的

 
報告書は、「金融の知識をもとう」「自ら考えよう」と提案していますが、「積み立てNISAなどで資産運用をしてみましょう」と具体的な行動まで示しています。「なにをすればいいの?」と固まってしまう人に具体策を提案するのは当然ですが、この部分に至る流れが稚拙な感も否めません。
 
だから、メディアの人間までも素直に読むことができずに紙面で真っ向から批判するなど、炎上騒ぎに拍車をかけたのかもしれません。
 
「土用の丑の日だからウナギ」と言われて素直にウナ重を食べる人も、ストレートにカネの話、シュールな老後のことなので、ちょっと抵抗してみたくなります。
 
国策として、国民の大半が「投資」「資産運用」を正面から考えるよう促しているのですから、「積み立てNISAがありますよ」「iDeCoを利用してください」と売り込むのは当然です。構えることなく、もっとストレートにおトクなポイントをアピールしたほうが自然に読めたと思います。
 
 

 5.なんでこうなるの?

 
金融関係者の多くは、今回の炎上について「ざんねん……」と感じています。「えっ、2千万円?」と自分の利益を考えて行動に移すことが、金融の発展、年金制度の質的向上、経済の発展、結局は国民全員の利益に寄与するとも考えられます。
 
多くの人が考え、正しい知識を得ることで、「今の年金制度はどうなの?」という議論も、積極的になっていくはずです。
 
それなのに、想定外の切り取り報道、選挙を意識した野党の言いがかり、それに乗じたピント外れの政府批判……不毛な政争、くだらない犯人さがしに多くの人が巻き込まれてしまいました。
 
 

 ◎いったんまとめ(まだまだつづくよ)

 
今回の炎上は意外な展開でしたが、「穴があるといえばココかな」という点を探してみました。
 
でも、ここまでのところでは「なんとなく理解した」だけかもしれません。
最終的には、自分自身のために、自分が選ぶべき道を決めることが求められます。
 
次回の「第3篇」では、具体的にどう行動するかを掘り下げます。
お楽しみに!
 
2019年6月25日
林 知之
 
 

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第3編 あなたの選択肢は?

7月5日(金)公開

 1.投資セミナー参加者増加

 
一方で、投資セミナーの参加者が増加したというニュースがありました。金融機関でも、NISAやiDeCoの申込が急増したとか。
 
行動力のある人、そろそろやろうかと考えていた人が動くきっかけになったのは、まさに報告書を作成した委員たちの望みと一致しています。
 
思わぬ展開によって、ふだんなら注目されない文書がこれほどまでに話題となったのは驚きです。下品なもの言いですが、意図しない“炎上マーケティング”が成立したわけです。
 
 

 2.「まずは行動」でいいのか

 
今回の議論は、「報告書の内容は適切なのか」という点に偏りがちですが、最も大切なのは「自分がどう考え、どう行動するか」です。
 
また、それを決めていくうえで観察するべきは、「なにが起きているか」「今後なにが起こるか」でしょう。
 
前項で触れたのは、報道をきっかけに「資産運用を勉強しよう」「はじめよう」と素早く動いた人たちの行動です。では、報告書そのものや政治家の発言の是非よりも、自らのための行動を優先した彼らは賢いのでしょうか?
 
一概に、そうとは言いきれません。
資産運用という個人的な活動は、とても自由です。無限の選択肢があります。また、長い期間にわたることなので、選択肢は「無限×無限」です。「まずは行動」という姿勢は好きですが、知識や熟考とのバランスが不可欠という点が重要です。
 
 

 3.詐欺師もよだれを垂らしている

 
知識もなく、じっくりと考えた経験もない人が慌てて行動しようとすると、今回の件を大チャンスと位置づけている詐欺師たちのカモになりかねません。
 
カネ絡みの詐欺は、幼稚な手口のものが意外と多いのです。
その理由は・・・私たちが、一瞬でも慌てればカンタンに引っかかるからです。
 
詐欺でカモを“釣る”ための言葉は、例えば次のようなもの。
 
「元号が新しくなったから○○」
「新紙幣の発行が決まったから○○」
「消費税率が上がるから○○」
 
「~だから○○」って、ロジック皆無のトークに、年配者を中心に多くの人がだまされる現実があります。わるい連中は、すでにガンガンと行動しています。「豊かな老後のために」というキーワードだけで、おかしな勧誘に引っかからないよう気をつけましょう。
 
「資産運用」の第一義は、「目減りしないように守ること」です。
(この点についてのつづきは次項)
「キケンな投資でグイグイと資産を増やすこと」とイコールではありません!
大切なカネをだまし取られるなんて、ムダづかいにもならない、ゼッタイに避けたいミスです。
 
 

 4.資産運用ってなに?

 
さて、報告書で提言されていることのひとつは、「資産運用を考えましょう」ということです。しかし、前項でも述べたように、「難しいことをして、資産を大きく膨らまそう」ということではありません。
 
私の本業は、相場のやり方を伝えること。
つまり、「株を売ったり買ったりして利益を上げる方法」です。
 
その私から、「これから資産運用を考えなくちゃ」と思っている人たちへのメッセージは、次の2つです。
 
「いわゆるリスクのあるものに、やたらと手を出すな」
「やるのなら勉強して!」
 
そもそも、基本的な認識がズレているケースが多いのです。
「資産運用なんてしません。銀行の普通口座に貯金しているだけです」って人がいるのですが、それ、資産運用をしていないのではなく、『資産運用の方法として、銀行の普通預金をメインにしている』ということですからね。
 
大切な資産が目減りしないようにするために、どうすればいいか──。
ひとつの分け方ですが、(1)金利で稼ぐ、(2)カネを別のものに替えておく、の2つが考えられます。
 
別のものに替えておく先としては、例えば株、投資信託などがありますが、不動産、金(きん)、外貨(例えば米ドル)など多くの選択肢があります。
 
今回の件で「自分には難しいなぁ」と感じる場合は、「資産運用とはなにか」を落ち着いて考えることがスタートです。自分の考えをまとめずに、いきなり金融機関に相談したりしないことですね。
 
 

 5.金融知識をもつなんて難しい・・・

 
報告書の提言は、「金融知識をもって、自分の資産の問題を“自分ごと”として考えよう」ですが、「知識をもつなんてタイヘン」といった声も聞こえてきそうです。
 
【参考】報告書より抜粋
退職金の金額の大きさを踏まえると資産運用に回す金額は多額であると言えることから、こうした投資を行う際には、運用方針や資産運用にあたって必要な金融に関する知識を、事前にある程度は身につけてから臨むことが望ましいと言える。
 
でも、前項で挙げたような、誰にでも理解できる視点で、「カネとはなにか」を考えるのが第一で、次に「自分がどのようにしたいか」を決めることが軸です。自らの好みや、人生経験を活用すれば大部分が解決することだと私は考えます。
 
「金融リテラシー」なんて言葉があります。
「カネにまつわる知識や判断力」を指していて、専門家が便利に使うのですが、ほとんどの人にとって最も“入ってこない”表現ではないでしょうか。
 
金融リテラシーという言葉を、「自分のカネのことについて、自分がわかる範囲で判断するチカラ」と言い換えたらどうでしょうか。
 
実際、金融のプロでも、自分の分野しか知らないのが実情です。
 
 

 6.節約が自分の首を絞める?

 
さて、報告書の是非はともかくとして、筋ちがいのツッコミを入れる野党はともかくとして、おかしな対応で火消しを図る与党はともかくとして・・・どうやら、「年金だけでは足りないかも」「貯蓄しておかなければ」というのが、私たちに突きつけられた課題です。
 
だから資産運用、ということですが、先ほども述べたように「守ること」が第一です。今楽しく使うことよりも、将来楽しく使うことを考えてムダな出費を抑えることです。
 
ただ、みんなが節約したら、全体のカネの動き(経済)がわるくなり、結果的には老後の赤字額が膨らむ……こんな懸念を示す専門家もいます。
 
だけど、そこは政府や行政がかじ取りする部分。
報告書にもあった「自分ごと」を考えればいいはずです。
 
 

 7.陰謀説も噴出

 
そもそも、今回の件で老後の問題に目を向ける以前から、なんとなく夢をもてない、なんとなく将来に不安……こんな心理が日本中にまん延しているように感じます。
 
それが、晩婚化、少子化につながっている可能性もありそうです。
 
日本人の家計金融資産は約1,800兆円だそうです。
ピンとこない数字ですが、とにかく巨額です。しかも、かなりの割合が預貯金で、しかも高齢者が保有する率も極めて高いという構造です。
 
「貯蓄から投資へ」のスローガンが長年にわたって空振りしている結果で、「資産運用を考えよう」という報告書の提言にもつながっているわけですが、もう歯車を逆にするのはムリだから、もっと節約させて最後に相続税でいただこうというのが、お上の一部が考える陰謀との説まで出ています。
 
消費税率の引き上げですったもんだしていますが、相続税の強化はすんなり通りましたからね。
 
これも、個人レベルで議論するのではなく「ゴルゴ13のネタ」くらいに考えたほうがいいのか、そうでないのか──ちゃんと考えるべきことですし、前述した「金融リテラシー」の一部ですが、少なくとも、飲みながら話題にすることではなく、教科書通りに説明すれば「選挙を通じて意見を反映させるべきこと」でしょうか。
 
報告書をめぐって国会で繰り広げられている、出来のわるいコントも、何かの陰謀かもしれませんが、かなり難解なナゾでしょう。
 
 

 ◎まとめ(とりあえず終わり)

 
私は、今回の報告書の内容を高く評価します。
クッキリハッキリ、賛成派です。
「多様化」を前提に、「自分ごと」として考えようという、ありがたい提言と捉えているからです。専門家が、一般的な目線で語りかけようとしている部分も感じ取れます。
 
また、「カネの議論」がタブー視されてきた日本で、まっとうな議論が起こるかもしれないし、多くの人がより深く考えることで金融の健全な発展が期待できるし、許しがたい金融詐欺の減少も期待できるからです。
 
「資産運用」の第一義は、「目減りしないように守ること」と述べましたが、広い意味では、「貯金しない」「宵越しの銭はもたない」というのも、資産運用の選択肢のひとつかもしれません。まさに、多様化です。
 
ここまで極端に自由な発想をベースに、「自分はどうするか」を考えることが大切だと思うのです。義務感から「やらなくちゃ」ではなく、「こうしたい」と考えるのが健全だという論理です。
 
誰しも、知らないこと、誤解していることがたくさんあります。
金融の世界では、とくに多いのではないでしょうか。
 
例えば、広く一般の投資家から資金を集めて成り立つ上場企業に勤めていながらも、「株式投資なんて……」と否定的な意見しか言わない人がいます。上場企業に勤務しているのだから株式投資をやるべき、なんてムチャなことは言いませんが、株式市場の存在や株式投資そのものを否定するのはナンセンスです。
 
しかし、こういった意見も、多くの人が認めていたりします。
錯覚というか、ちょっとした勘違いが根強くあるように感じるのです。
 
まあ、多様化ですから、視点もさまざま、論点もさまざま、まずは思いつくままに意見交換したりすることでしょうか。それこそが、「金融リテラシー」の向上です。
 
 

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