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プロの「うねり取り」をやろう

WEB読みもの 第13弾
2021年8月5日 前編を公開
2021年8月18日 後編を公開
 
 
株の売買には、さまざまなやり方があります。
また、やり方を分類する視点(基準)も多岐にわたります。
 
そのなかから今回、「うねり取り」という古典的な手法を紹介します。
 
「古典」といっても古くさいわけではありません。
市場の基本的な構造は同じですから、普遍的な方法を見いだすことも難しくないのです。
 
歴史ある売買法の発想が、多くの個人投資家に必ず役立つと思います。
 

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── 前編 すべてを超越する「うねり取り」 ──

 

 1.うねりとは自律的な上げ下げ

 
うねり取り──。
 
なんとも泥くさい言葉ですが、やることは実に単純なので、現在あなたが、どんなやり方をしていても、一度は触れてほしい考え方、トレード哲学です。
 
企業が成長すれば、企業価値も高まって株価は上昇します。
例えば、アメリカの著名投資家ウォーレン・バフェット氏は、もともとの企業価値、ビジネスモデル、経営者の資質などを見て株を長期に保有することで資産の増加を図ります。
 
でも、そういった企業価値(内容)の変化がなくても、株価は動きます。もちろん、短期の値動きはとりとめのないものですが、これが数カ月の期間にわたると、多くの投資家がチェックする「トレンド」を見いだすことができます。
 
ズバリ、3カ月あるいは6カ月のトレンドを、「うねり」と呼んでいます。
 
背景には株式市場全体の動きもありますが、それを含めて、理屈ではカンタンに説明できない「自律的な上げ下げ」で、この波を取りにいくのが「うねり取り」なのです。
 
 

 2.数カ月間の変動を狙う心地よさ

 
デイトレードのような超短期売買では、腕自慢のプロトレーダーたち、百戦錬磨の証券会社ディーラーたち、そして、目に見えない速度で注文を出しまくるコンピュータプログラムとガチンコ勝負をしなければなりません。
 
だから、よほどの適性がないかぎり、おすすめしません。
 
といって、ウォーレン・バフェット氏のような長期投資にも、企業そのものを分析する特別な知識や判断能力が求められます。これはこれで、難易度が高いのです。
 
でも、数カ月単位の変動ならば、前項で「自律的」と述べたように、理由なく適度に上げ下げする状況が相手なので、個人投資家にとって、なかなか取り組みやすい方法といえます。
 
 

 3.日銭を稼ぐプロのトレード

 
冒頭で、うねり取りという手法を「古典的」と表現したとおり、昔の相場師が好んで実践していた方法です。
 
市場で取引される株は、上場企業の持ち分です。
企業はみな、利潤を追求します。
だから、収益と成長を期待して“買って保有する”ことで、平均的にはプラスになると計算できます。ですが、前述した難易度だけでなく、成果を出すのに年単位の時間を要することも問題です。
 
生活費を稼ぐのが目的のプロ相場師たちが、「日銭(ひぜに)を稼ぐ」目的で実践するには、うねり取りが最も適しているのです。
 
この部分は、兼業の個人投資家が実践するときのやりやすさ、心地よさにも通じています。
 
人知れず、自律的な上げ下げに乗ってコツコツ儲ける──いぶし銀の職人トレーダーというイメージですね。
 
 

 4.うねり取りでは銘柄を固定する

 
株式投資、トレードは、大切な資産を投じる行為で、ひとつの事業といえます。
ただし、やはり生身の人間ですから、モチベーションを維持するうえで「相場の楽しみ」といった要素も大切でしょう。
 
多くの個人投資家が、銘柄を入れ替える売買を行います。
その銘柄さがしが、最大の楽しみかもしれません。
あるいは、銘柄情報、当たる予測をさがすことが楽しみなのです。
 
でも、銘柄さがしによって、雑多な情報に翻弄されているのも事実でしょう。
ときには、くだらない予測情報に振り回されて売買の流れがグズグズに……相場あるあるです。
 
そんな不安定要素を、思いきって排除してください。
 
必要不可欠な銘柄入れ替えはしても、基本的には銘柄を固定、つまり「同じ銘柄を、ずっと追いかける」のが、うねり取りの基本です。そして、この覚悟が、百戦錬磨のプロたちと同じ土俵で勝負しても十分に勝つ可能性を生み出します。
 
プロの料理人になることを、想像してみてください。
今月はラーメン店、来月はイタリアン、その翌月は中華料理……これでは、客をうならせる味なんて出せませんよね。
 
狙う期間だけでなく、銘柄も固定して手堅い利益を出しつづけよう──これが、うねり取りの考え方なのです。
 
 
 

 5.銘柄を固定すると予測が当たるのか?

 
銘柄を固定しても、相場の予測を当てる困難は同じです。
ザンネンですが……。
 
やはり、「上か下か」で考えれば、どんなときでも平均50%の的中率──この原則を踏まえて売買を組み立てていかなければなりません。
 
ただ、銘柄を固定している、つまりは、例えば「塩ラーメン専門」(作るでも食べるでも)みたいな感じで相場と向き合う姿勢が、大きな優位性を生みます。新しい銘柄や新しいやり方を試みる際のアウェイな感覚などなく、常にホームで勝負する点が、安定した結果につながります。
 
ちょっとストイックで、お遊び感覚の楽しみは捨てなければいけませんが、上級者の貫禄を身につけて、経験を積むほどにステージが上がっていく快感を求めてほしいのです。
 
それが、今回取り上げた「うねり取りの実践」です。
 
銘柄さがし、当たる情報さがしにエネルギーを費やす多くのライバルと離れた立ち位置で、特定の銘柄を相手に、「どこで出動するか」「どんな手仕舞いをするか」といった重要な行動指針に頭脳を振り向けるのです。
 
 

 6.日柄観測の重要性

 
投資家は、株価の「水準」を気にする傾向があります。
売買する水準で損益が決まる、水準こそが重要──こう考えるわけですが、実は最もアテにならない要素なのです。
 
商品先物なら、実生活に直結する製品や素材が取引されるので、高すぎたら誰も買わない、安すぎたら生産者が困る……そんな事情もあり、「水準」という見方も一定の範囲で有効です。
 
ところが株価というのは、短期間で100倍になっても、逆に100分の1になっても問題がない、といえます。実際、ファンダメンタル(企業の分析結果)よりもマーケットでの「人気」が先行して変動しています。
 
その変動を、数カ月という単位で見ていこう、その数カ月単位の上げ下げに乗ろう(上げでも下げでもポジションを取って儲けよう)というのが、うねり取りです。
 
ここで、あなたが見る株価チャートについて考えてみましょう。
チャートというのは二次元、タテ軸が価格、ヨコ軸が時間(日柄)と、たった2つの要素で成立しています。
 
この2つの要素のうち、「価格」だけに目を向けてしまうのはキケンです。
価格が重要だと考える心理から「日柄」を無視しがちなので、意識して日柄を観察することがポイントですね。
 
下に、実際のチャートを示します。
日々の終値を直線で結んだシンプルな折れ線チャートですが、つい気にしてしまう短期的な上げ下げを無視して、2番目に示したような「トレンド」を見いだすのがコツです。
 
図(前編).png
 
高値→安値→高値、と変化する際、必ず一定の日柄を要します。
「価格」と「日柄」、2つの要素を両方とも同じように扱うことで、トレンドが見えるのです。
 
「日柄を見ろ!」
 
この言葉を忘れないでください。
 
 

 7.トレードの三要素 予測、対応、資金管理

 
多くの個人投資家は、「予測を当てる」ことに力を注ぎます。
たしかに、予測がビシビシ当たれば儲かるでしょうが、金融市場は不特定多数が競争している場なので、誰がどう頑張っても、「上がるか下がるか」という予測の的中率は50%前後におさまってしまうのです。
 
この事実に「道がない……」とガッカリしてしまうのですが、これこそが出発点なのです
 
予測は難しい、株価をコントロールすることもできない──こんな絶望のなかに、「自由にコントロールできるものがあるじゃないか」という大発見があります。株価が動いたときの対応、次の一手は常に自分の自由なのです。
 
予測は当たらないという前提で臨みますが、予測がなければ何もできません。「ここから上昇だな」とか、「この銘柄がくるぞ」と考えてスタートしたあと、その後の状況(その後の値動き)を見て考えます。「見込み違いだ。いったん撤退だ」とか、「いい感じだな。株数を増やしてみるか」と自由気ままに対応していくのが現実です。
 
まずは「予測」がありますが、これに固執せずに状況の変化を分析し、新たな予測、それをポジションに反映させる“次の一手”を決めます。
 
「予測」と「対応=ポジション操作」という2つの要素で、「売買=トレード」が形づくられます。
 
あとは、全体の管理です。
余裕があるほどいいのですが、資金稼働率が低すぎたら意味がありません。といって、資金稼働率が高いと(ポジションサイズが大きいと)、予測もまずまずで対応もわるくないのに、相場のアヤ(ちょっとしたブレ)で大きくヤラレてしまいます。
 
 「予測」 「対応=ポジション操作」 「資金管理=リスクの調整」
 
この3つの要素がからみ合って、売買の結果が決まるのです。
 
 

 8.事件が起きない銘柄を選べ

 
前項では「対応が重要だ」と述べましたが、銘柄選びだって大切です。
 
「当てる」という観点ではなく、予測を当てるのが難しいから「対応」がカギ。
「やり方に合う銘柄を見つける」ことが課題なのです。
 
「株価は自律的に上げ下げする」と述べました。
各種の情報に慣れた人ほど、株価を動かす“材料”を求めますが、自立した立ち位置でコツコツとシブく稼ぐには、自律的な変動(うねり)を対象とするべきです。
(これがうねり取りの考え方、アドバンテージを生む発想です)
 
結論として、特別な材料が出現しない(しそうもない)銘柄が、うねり取りに適しているといえます。
 
こう言うと、「悪材料が出ない銘柄」と思うかもしれませんが、好材料もないほうがいいのです。例えば新薬の開発で大暴騰、みたいなことが起きないほうが、自律的な上げ下げが乱れず、うねり取りの戦略、値動きへの対応がやりやすいわけです。
 
一定の資本金と発行株数があり、企業の歴史もあって株主構成の大きな変化がなく、業績も安定している(大きく好転したり悪化したりしない)……つまり、“事件”が起きない銘柄が、うねり取りの対象です。
 
例えば、ちょっとした新製品が期待されたとしても、多角的なビジネス展開の一部門で、特別なインパクトがない、なんて感じです。
 
 

 9.道具は、折れ線チャートと場帳だけ

 
さて、飛び交う銘柄情報とは無関係な場所で、いぶし銀の対応をコツコツ継続する──必然的に、日々の作業や売買ツールもシンプルです。
 
3カ月・6カ月の上げ下げを見るために日足を使用しますが、人気のあるローソク足は情報が多いので、終値を点で打ち、終値と終値を直線で結ぶ「折れ線チャート」がおすすめです。
 
 
 
これに、「場帳」を併用します。
終値を数字で書き込んだシンプルなものですが、チャートのように上げ下げが一目瞭然でない分、「自分の出処進退を自分自身で考える」効果が強烈です。
 
 
 
あとは、市場全体のすう勢をチェックします。
守備範囲の銘柄(手がける銘柄+候補の銘柄)は日足と場帳、そのほか適当な銘柄をやや幅広く、月足で観察します。
 
月足なので、手作業でも描き足しは月イチ、それほど手間はかかりません。
株価指数は単なる平均なので、月足で個別銘柄を幅広く観察して、株式市場全体の流れを把握しておきます。
 
 
 
こうして、道具を限定したり観察するデータを選ぶことで、雑多な情報に惑わされない、自立した売買判断がより強固になるのです。
 
 

 10.区切りをつける

 
株式投資(トレード)が、スポーツなど他分野の競争と大きく異なる点は、「時間制限がない」ことです。
 
スタートもフィニッシュも決まっていません。
いつはじめてもいいし、おわりも自分で決めます。
 
こういうことから、下がってしまった持ち株について「売らなければ損じゃない」と強がって先送りして大損する、大損を確定するまで資金を寝かせてムダにしてしまう……こんな悲劇が起こります。
 
この逆をやるのが、職人の売買です。
 
でも、とくに苦しい思いはありません。
狙う期間が「3カ月・6カ月」と定まっているのですから、「夕方になったら帰宅する」ように、時間が経過したら結果にかかわらずポジションを閉じればいいのです。
 
こうして区切りをつけることを前提にポジションを取ることで、つまらない意地を張ったりすることがなくなります。また、スタートも丁寧かつ慎重になります。
 
想定した期間で区切りをつける──あらゆる売買(トレード)に共通の大切な発想です。
 
 
さて、これで前編は終了です。
まずは、うねり取りの古典的な考え方をサクッとまとめて説明しました。
「もう少し詳しく!」と思うなら、私の著書を読んでください。
 
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後編 ~うねり取りを実践する機械的判断方法がある~

 
「うねり取り」をやってみたい。
でも、職人的な判断なんて、身につける自信がない……。
 
うねり取り売買のハードルを、グッと下げる方法があります。
うねり取りを目的に機械的な判断を行う、「中源線建玉法」(ちゅうげんせんたてぎょくほう)です。
 
この手法を紹介しながら、うねり取りの本質、売買(トレード)のコアな部分を考えていきましょう。
 

 1.逆行でトレンド転換を判断

 
上がる銘柄を見つける、あるいは、見ている銘柄の買い場を見つけるためには、なにがポイントでしょうか?
 
観点を「値動き」に絞ったとき、「下がったから買い」という判断があります。
間違ってはいませんが、「以前よりも安くなった」というだけでは、ふだんの消費活動(買い物)の理屈を当てはめているだけです。株を買う場合は、過去より高いか安いかではなく、「将来、上がるかどうか」だけが問題です。
 
株価が下がり、安値で動きがなくなった──「下げ止まった」「こんどは上がる」と判断すれば、安値圏で仕込むことに注力しますが、「再び下げに向かう」(下げトレンドがつづく)可能性もあるのです。
 
この課題を解決するのが、「カッコいい逆張りなんて捨てよう」という発想です。
難しい場面でデリケートな判断を下し、絵に描いたように安値を拾う──こんなことを求めずに、「上がりかけてから出動しよう」と考えるのが、中源線建玉法(ちゅうげんせんたてぎょくほう)のロジック(ルール)です。
 
株価が下がっても、下げのスピードや下げ幅などを基準にせず、継続していた下げトレンドが終了して“しっかりと上向きに動いた”ことを確認してから買いはじめる、ということです。
 
身近のものに当てはめると……
 
「停車していて“いつ動くかわからない”電車には乗らない。もしかしたら反対方向に動くかもしれないから。その電車が、想定した方向に動きはじめたら飛び乗る」
 
こういうイメージです。
いささか無理やりなたとえですが、理解してもらえるでしょうか。
 
値動き図で説明すると、以下のとおりです。
 
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 2.当てることを放棄する

 
株価の先行きを「どうやって当てるか」──相場の実践論では、この度合いを下げます。その分、「やり方」(値動きに応じてポジションを変化させる行動)にエネルギーを振り向けます。
 
「中源線建玉法」も、こうした実践論をベースにしています。
 
機械的な判断をもとに常に3分割でポジションを増減させる対応は、ある意味、「予測を当てることを放棄している」といえます。
 
ちょっとビックリな表現かもしれませんが、多くの投資家が「当てる」ことに固執して迷走しているのが現実です。当たる情報を探し求め、いつでも「誰の予測が当たるかを、見事に当ててやろう」というムチャな試みに多大なエネルギーを費やすのです。
 
この説明だけで「中源線には価値がある」と主張するのはムリですが、必然的に負けてしまう“平均的”なマーケット参加者と、思考のベクトルが正反対なのはたしかです。
 
 

 3.しかし、確固たる前提がある

 
「当てることを放棄している」と述べましたが、実践するうえで「当てよう」とする気持ちは消せません。だから、消そうとはしないのです。
 
「上がる」と確信するから買う──これは当然のことです。
 
ただ、どんなに気合いを入れても、その予測が当たったり外れたりするのが現実。
だから、予測に固執することなく柔軟に対応していくのです。
 
「買いだ!」と思っても、決して決め打ちはしません。
予定数量を3回に分ける「分割」を行います。
  1. 「買いだ」→3分の1だけ買う
  2. 「この予測でよさそうだ」→もう3分の1買う(合計3分の2)
  3. 「上昇基調は壊れていない」→最後の3分の1を買う(合計3分の3、計画の満玉)
確固たる判断を前提に行動しますが、状況は常に流動的……いつでも修正できるようにして進んでいくのです。テニスプレーヤーが、相手のサーブがどこに来ても打ち返せるよう、体を左右に動かしながら構えているのと同じです。
 
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 4.「順行」「逆行」の判断がキモ

 
中源線について、「逆行でトレンド転換を判断する」と説明しました。
 
ダラダラと下げたあと、クイッと上昇する動きを捉えて「上昇トレンドのスタート」と判断するのです。ただし、非常に敏感なだけに勇み足もあるので、「まずは3分の1」と行動を抑えてバランスを取ります。
 
さて、私たちプレーヤーは生身の人間なので、感情をなくすことができません。
だから、「まずは3分の1(判断の変更もある)」といっても、とりあえず買ったら、すんなりと上がってほしいと考えるものです。
 
そこで、「ダメだ」と判断したら潔く損切りできるよう、感情を揺らさない工夫もほしいのです。中源線には、そんな工夫ともいえる部分があります。
 
下がってきた、逆行して陽転(買いシグナル出現)した、買った──人間の心理として「上がったらうれしい」「下がったらおもしろくない」のですが、そんな感情が望ましくない行動を生みます。機械的な判断があっても、最終判断を下す自分自身が揺れたらおわりです。
 
だから、当然に起こる上げ下げを、他人事(ひとごと)のように淡々と受け止めたいのです。
 
中源線では、「上げ」「下げ」という表現を使いません。
「売り」または「買い」という確固たる判断があり、それに対して「順行」または「逆行」と平易に評価するだけなのです。
 
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 5.一歩遅れの美学

 
「当てることを放棄している」
「値動きへの対応にエネルギーを費やす」
 
実は、中源線に限らず、すべての売買に共通する必須事項です。
 
事前に動きを知りたい──マーケット参加者がこう考えて先回りを試みる結果、株価そのものが先行指標になります。だから、株価の先行指標はなく、予測は当たったり外れたりするのです。
 
唯一の方法は、少し遅れて「対応」することです。
 
中源線のスタートの「逆行でトレンド転換を判断する」こともそうですし、そのあとに「いける」と判断してポジションを積み増す行動も、「ダメだ」と判断して撤退する行動も、すべて一歩遅れです。
 
こう説明すると「一歩遅れか……」と、多くの投資家がすっきり納得してくれないのですが、機械的判断やルールがなければ、行動がもっと大幅に遅れるケースが多いのです。
 
  • 決め打ちして買ったあと「あれっ?」と思っても何もせず、「まずい!」と思っても動けず、買った株は塩漬け
    →「さらなる損の可能性」「精神的苦痛」「資金が寝てしまう」の三重苦
  • 「動きはじめた?」と思っても「少し下げてから買う」と動かず、さらに上がってから飛びついて苦労する
    →不利なのに、ドタバタした結果「期待値」だけは高まる
 
二歩、三歩くらいの遅れまではOKです。
四歩、五歩と遅れることが問題なのです。
 
したがって、一歩遅れは理想といえます。
 
「常に一歩遅れる。でも確実に行動する」という、大切だと認識しながらも抵抗のある行動を、中源線のルールがあと押ししてくれます。冒頭で述べた、「うねり取りのハードルを下げる」効果です。
 
 

 6.計画性

 
これまで説明してきたことを、私は「計画的な売買」と呼んでいます。
 
一般に「計画的」というと、「動きを予測して当てる」ことを想像しがちですが、そんな希望を捨てることが第一歩です。
 
では、先が読めないことを前提とした計画とは?
前項で述べた「一歩遅れ」の対応です。
  1. 「こうきたら、こう動く」と決めておく
  2. それを確実に実行できるようにしておく
相手である株価が、全く不可解な動きをみせます。
だからこそ、どう動いても対処できるように、“一歩遅れ”の行動を計画しておくのです。
 
 

 7.シンプルなルールが示すもの

 
 
余分な情報を排除したシンプルなチャートには、「順行」「逆行」のジグザグで値動きが表現されます。その動きをシンプルにパターン分析するのが、中源線建玉法です。
 
こういった説明に対して、「なにか足りないのでは……」と感じる人も多いでしょう。
でも、それは「当てよう」という発想によるものです。
 
もちろん、考えられるかぎりの条件を重ね合わせれば予測の的中率は上がると思いますが、前述した「一歩遅れの対応」が不要になるほど高い確率で当たる数式なんて生み出せません。それが可能ならば、優秀な数学者か経済学者が、とっくの昔に考案してボロ儲けした結果、すべての金融マーケットが崩壊しているはずです。
 
プロの道具は、どんな分野でも、とてもシンプルです。
子どもだましの機能は、すべて排除されているものです。
 
ムリに予測の的中率を求めると、偶然の要素が多い売買(トレード)のなかで、結果を正しく評価することができなくなります。つまり、「なぜ勝ったか」「なぜ負けたか」を把握できない状況に陥ります。
 
シンプルで、常に内容を理解できる、すなわち個人的な感覚を捨てずにコントロールすることが可能──中源線の優れた部分です。
ルールはすべて公開しています。そしてシンプル……いわゆる「ブラックボックス」が発生することがありません。
 
単に「儲かった」「ダメだった」と一喜一憂しておわりではなく、売買(トレード)の実行力が向上していくツールなのです。
 
 

 8.中源線を知る方法

 
今回は、「うねり取り」の解説を通じて、売買(トレード)の本質的な部分を言葉にすることに注力しました。
 
「中源線について、もう少し情報を……」という場合は、以下のものをご覧ください。
 
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※登録なしで中身のチラ読みもできます。
 
 
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