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サヤ取り

◆2つの価格の「差」を売買する

サヤ取りとは、異なる2つの銘柄をペアにして、ひとつの銘柄は売りポジション、もう一方は買いポジションと売り買いを同時に建てることで利益を狙います。つまり、常に両建てのポジションを取るのです。

2つの銘柄の価格に連動性があれば、長期的には同じように上げ下げします。しかし一時的に片方だけが割高になったり、あるいは片方だけが割安になる、つまり「サヤが正常ではない」状態になることがあります。このとき、割高なほうを売り建て(カラ売り)すると同時に割安なほうを買います。この両建てのポジションを維持し、サヤが正常に戻ったときに売りポジションも買いポジションも手仕舞いすれば利益になります。これが、サヤ取りの狙いです。

◆なぜ、わざわざ両建てするのか?

サヤ取りでは、売りポジションと買いポジションを同時に建てます。ですから、売りと買いの合計で利益が出ても“片方は損”という結果は、いくらでもあります。そこで、「片方だけを売買すれば利益が大きいではないか」という疑問が出ます。しかし片方だけを「売る」あるいは「買う」という片張り(かたばり)の売買では、突発的な上げ下げというリスク要因があります。このリスクを消して安全確実に利益を取ろうとするのが、サヤ取りです。市場全体が大暴騰したり大暴落したときにも、サヤ取りならば戦略が根底から崩れることが少ないのです。相場が荒れた場面では、むしろサヤ取りで利益を得るチャンスが増えることが多いのです。

理論だけではわかりにくいと思いますから、値動きと売買の例を示しながら説明しましょう。

◆サヤ取りの例1

銘柄A銘柄Bは、Aのほうが少し上ザヤ(少し高い)が正常、つまりいつもの価格差です。両方の銘柄が上昇する途中、Bが出遅れたために一時的にサヤが大きくなりました。最後はBも上昇して、いつものサヤに戻ります。

こういうサヤの変化を利用して利益を取るのが、サヤ取りです。

サヤ取りの例1

図の中央付近では、A銘柄が先行して上がったことでサヤが大きく開いています。このとき、「AはBに対して割高」「BはAに対して割安」と考えます。あくまでも、AとBの価格差(サヤ)だけを考えます。ですから、「市場全体の上昇トレンドが続くかどうか」「上昇したAは天井かもしれない」といったことには注目しません。

では、ポジションの建て方を説明します。
サヤが開いた時点で、「AとBのサヤは、いずれまた縮小する」と考え、Bに対して割高なAをカラ売りし、同時に、Aに対して割安なBを買います。Aがさらに上伸するなかでBが出遅れて上昇し、期待通りにサヤは縮小しました。ここでA銘柄のカラ売りポジションを買い戻すと同時に、買っていたBを売却します。Aのカラ売りは少し損になりましたが、Bの買いでAの損を大きく上回る利益を出すことができました。サヤ取りの売買は思惑通りに成功、というわけです。

◆サヤ取りの例2

例1と同じように、銘柄A銘柄Bよりも上ザヤですが、「正常なサヤ」の設定が異なります。また、価格そのものの上昇・下落も設定が異なります。少し混乱するかもしれませんが、「サヤ(価格差)」と「2つの銘柄間の割高・割安」だけに注目して考えてください。

サヤ取りの例2

AもBも上昇したあと下落していますが、Bのほうが大きく上昇したために高値ではサヤが詰まっています。例1とは違い、高値でサヤが詰まった状態が異常なサヤで、仕掛けのチャンスだという設定です。

サヤ取りを仕掛けたタイミングは結果として天井の直後ですが、2つの銘柄を比較するとAはBに対して割安なので、買いポジションを建てます。サヤ取りなので、Aに対して割高なBはカラ売りします。

2銘柄とも下落し、小さかったサヤは正常な値に戻りました。ここで手仕舞いします。買ったAは売却し、カラ売りしたBは買い戻すのです。
下落したのでAは損をしますが、それを上回る利益をBのカラ売りで取ることができたので、サヤ取りは成功です。

◆サヤだけを見る

説明の中で強調しましたが、サヤ取りで注目するのは2銘柄間のサヤだけです。「上昇する」「下落する」といった上下の要素は考えません。

また、「割高」「割安」というのも2つの銘柄の比較だけです。市場全体に対する割高・割安は、原則として考えません。

◆異常な状態と正常な状態

2つのサヤ取りの例では、サヤの「正常な状態」「異常な状態」という表現を使いました。そして、異常な状態から正常な状態へ変化するときにポジションを建てて利益を上げるという売買例を示しました。サヤの縮小・拡大がコンスタントに起これば、サヤ取りで利益を上げるチャンスはたくさんあります。しかし「異常な状態で仕掛けて正常な状態に自然に戻るのを待つ」というのが、仕掛けのチャンスを絞って確度を高める、プロの基本的な発想です。

◆どんな組み合わせがあるのか

すぐに考えつくのが、理論的に関連性のある2つの銘柄です。

  • 原油とガソリン(原料と製品)  「ブロック」のページに実例があります
  • ガソリンと灯油(原料が同じ製品同士)
  • 大豆とトウモロコシ(同じ農産物)

商品先物では、同じ銘柄の異なる限月(限月間サヤ取り)も可能です。

株ですぐに思いつくのは、同業種の異銘柄です。しかし、連動しすぎてサヤが動かない、サヤが動いたときは2つの銘柄の「正常なサヤ」が変わってしまうとき、というような心配もあります。でも、同業種ではなく異業種の、理論的に関連性が見あたらない組み合わせでも、一定の連動性をみせるものがあります。

 株のサヤ取りについて数冊の本を著した栗山浩氏は、「異業種で組み合わせるべきだ」と主張しています。「株そのものの人気の推移はどの銘柄でも同じだから」という説明が成り立つようです。

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