Web読み物

第4項 まとめ

「アフターコロナの株式投資」と題して、3項にわたって解説しました。
 
まず第1項のタイトルは「脱・コロナ脳」。
目まぐるしく飛び交う情報について、プロ目線の注意点を挙げました。
 
つづく第2項と第3項は、林投資研究所が提唱する具体的な投資手法「中源線建玉法」「FAI投資法」の観点で、実践的な見方を示しました。やはり、「ちまたの情報に注意する」ことが大きなポイントです。
 
最後の項は「まとめ」です。
これから投資をスタートする人にも、すでに長年やっているベテラン投資家にも役立つよう、グッと高い視点から、投資活動や株式市場を考えてみます。

 

 

1.知らずにネガティブ

 
新型コロナウイルスの感染が「ヤバそうだ」と認識されて以降、テレビのニュースではコロナ関連の話題が中心です。毎日必ず、「新型コロナウイルスの影響により……」という決まり文句ではじまるニュースばかり……。
 
第1項でも触れましたが、この偏った報道が不要なレベルの恐怖を生み出しています。
7月下旬にさしかかった現在、たしかに感染者数は増えていますが、入院を要する人や重症者数はかなり少なく抑えられている状況のようです。そういった分析がないまま、「増加した」ばかり繰り返す報道の姿勢には疑問を感じます。
 
ワクチンが開発されていないしウイルスに未知の部分がある以上、継続的な警戒が必要です。「自粛なんて不要だったんだ」という意見もありますが、結果論をもとに、いたずらに政府を批判しているだけだと感じます。
 
でも、報道が偏っているため、多くの人が必要以上にネガティブな気持ちになっています。
「現状認識が強すぎる」ため、アフターコロナの世界を想像できない状態なのです。
 

 

2.アフターコロナの世界とは?

 
世界の変化を先読みする──世の中を引っぱっていく有能なビジネスパーソンの“目”をもつのは難しいことです。
でも、コロナに翻弄されて警戒するだけの姿勢が未来につながらないことは、誰にでも理解できるでしょう。
 
ビジネス世界の競争が新しいものを生み、私たちの生活をより豊かにするのが、資本主義社会の構造です。
 
多様化によって生まれたスローライフといった考え方も、社会の発展があるからこそ成り立つ思想だと思います。
 
さて、株式市場では常に、近視眼的な情報が主役です。「アフターコロナ」といって薬品の関連銘柄か物色されたりする部分は、相変わらずです。
 
しかし、すでに予定されていた近未来の訪れが早まることが、アフターコロナの軸ではないでしょうか。
 
次世代の通信技術「5G」の実現とともに、企業が二の足を踏んでいた「テレワーク」が進みます(すでに進んでいます)。「そうだよ、みんながオフィスに集まらなくてもいいじゃん」と気づいたのです。その延長で、「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた「ワーケーション」なんて発想も、あらためて注目を集めています。
 

 

3.誰も立ち止まらない

 
テレビのニュースでは「新型コロナウイルスの影響で」と、ビジネスで苦労している話題を積極的に取り上げます。
 
例えば、街のレストランで席をガラガラにして営業する状況を「これが新常態」といわんばかりに紹介しますが、どう考えても“一時的な対応”です。ビジネスとして成立させるのは、かなり困難でしょう。
 
こうした側面に目を向けると、コロナ禍で世界が縮小するような気もするのですが、人間がみなジッとしているはずがありません。
 
前述したように、世界各国が金融・経済支援を実施してコロナと戦おうとしています。
 
人々の活動を抑止しているのは政治的な決断で、産業基盤が失われたわけでもありません。
 
もうしばらく「困難な現状」がつづいても、株価が支えられていれば「好材料はなに?」と物色対象を探すのが株式市場という場です。
 
このイメージをもとに、しかし決して刹那的にならず、ゆっくりと買い場を探っていくのがオトナの姿勢です。本業をもつ兼業投資家が目を向けるべき投資スタイルです。
 
アジア圏では、コロナの被害が極めて少ない状況です。その中で、株式市場も経済も規模が大きい日本が、アフターコロナの投資先として注目を集めるかもしれません。
 
こうしたポジティブ思考は、ニュースを見て「感染拡大の恐怖」を感じている確実に盲点になります。
 
さて、慌てずに投資を進めるには、第3項で挙げた「FAI投資法」の視点が有効です。月足を利用して大きな流れを見る姿勢です。
 
第2項の「中源線建玉法」は、もっと短い期間に目を向けながらも、ちまたを飛び交う雑音に惑わされない値動きの判断を可能にしてくれます。
 
アフターコロナの株式投資、第6のキーワードは、『情報をうのみにしない』ことです。
 
第1のキーワードとして挙げた『情報を正しく処理するよう努める』を実行する、大きなポイントです。
 

 

4.タイミングを自分で決める

 
売買経験のある人はご存じかもしれませんが、相場格言に「人の行く裏に道あり花の山」というものがあります。
 
多くの人は、「大衆の逆をやるのが儲ける道」という意味に解釈していますが、実は、茶人で有名な千利休の作ともいわれる歌で、次のような下の句があります。
 
「いずれを行くも散らぬ間に行け」
 
 
通して読むと、「道はいろいろあるが、タイミングが大切だ」と解釈できますね。
 
日経平均を軸に「株」とひとくくりにしたうえで、「売りか買いか」なんて……存在するはずのない“画一的な答え”を求めてはいけません。銘柄ごとに動きはちがいますし、戦略だって人それぞれです。
 
例えば、同じ銘柄について、同じく買い戦略で臨んでも、「安いうちに仕込む」「上がりかけてから乗る」「はっきり上げトレンドだと確認してから乗る」など、いろいろなタイミングが考えられます。乱暴な一点狙いではなく、実践的な分割売買を考えたら、取り組み方は無限に存在するのです。
 
 
「人の行く裏に道あり花の山、いずれを行くも散らぬ間に行け」
 
売りでも買いでもいい、どんな銘柄でもいい、具体的なポジション操作もさまざま・・・
 
アフターコロナの株式投資、最後(第7)のキーワードは総まとめ、『自分だけの価値判断を大切にする』ことです。
 
林投資研究所は「確信ある自分流」を提唱し、それを模索する投資家を常に応援します。
 

 

◎キーワードまとめ

  1. 情報を正しく処理するよう努める
  2. 株式市場の活性化と発展の継続
  3. 投資の時間軸
  4. ちゃんと個別銘柄の動きを見る
  5. 意識的に長めの期間を見る
  6. 情報をうのみにしない
  7. 自分だけの価値判断を大切にする
Web読み物カテゴリー
すべてのWeb読み物
プロの「うねり取り」をやろう
株式投資に役立つ情報/害となる情報
株式市場は宝の山
手描きチャートと変動感覚
ローソク足チャート(プロの読み筋)
なぜ、あなたは儲からないのか
安倍総理辞任
アフターコロナの株式投資
初心者が気をつけるべき7つの落とし穴
"使える"投資法/トレードシステムを見分ける7つのポイント
事故を起こさないオトナの資産運用
老後2000万円 まとめ