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株式投資に役立つ情報/害となる情報

WEB読みもの 第12弾
2021年6月8日 前編を公開
2021年6月24日 後編を公開
 
「情報化社会」という言葉が使われはじめて久しく、ここ20年はインターネットの普及によって、個人でも多くの情報にアクセスできるようになりました。
 
もともと相場の世界は、超情報化社会。
電話だけの時代でも、実にスピーディーに情報が伝達されていました。
 
現在は、上場銘柄数も多く、情報は無数に飛び交い、国境のハードルも低くなって投資先はいくらでもある──「今日買う銘柄」で悩む前に、「情報の捉え方」を考えてみることが重要です。
 
個々の情報が、個人投資家の株式投資にとって「役立つ」か「害となる」か……。
こんなアプローチをしてみました。
 

 

── 前編 害となる情報が多すぎる ──

 

 1.成果を決めるのは「銘柄」か

 
株式投資における成功の秘訣は、よい銘柄を見つけて買うことだ!
そうでしょうか。
 
例えば、ある銘柄(個別株)について、「明らかに割安だ」と感じるケースは数多くあります。そして、そんな判断が「リスクを負って買う」積極的な行為の根拠です。
 
でも、一歩か二歩退いて考えてみると、「明らかに割安」「こんなに安いのはヘンだ」というのなら、そもそも、その水準まで売られていないはずです。
 
誰でも参加できる株式市場には実際、国境を越えて多数の投資家が集まっています。百戦錬磨のプロまで含めた参加者全員が、「自分だけ儲かればいい」と考えて行動しています。
 
だから、「ゼッタイに儲かる割安株がころがっている」なんて道理はありません。
(そんな割安になる前に買われる、すなわち「下がらない」のが市場の機能だからです)
 
あらゆる状況について、同じように考えることができます。「儲かる銘柄の秘密情報はない」というのが、いわば最大の秘密でしょう。
 
 

 2.予測的中の確率

 
ファンダメンタル分析(企業の業績や財務の分析)やチャート分析で、特定の銘柄について、この先「上か下か」を予測する──こんな行動を考えてみます。
 
十人十色、人によってさまざまな理論や着眼点がありますが、「上か下か」なので、全体で予測的中率は50%です。同じことを繰り返して、長い期間で的中率が80%、90%に届く人なんているはずがないのです。
 
ちまたの銘柄情報は、投資家に夢を与えてくれます。
でも、上記の原則から、実現しない“一時的な夢”と言いきることができます。
 
こんな否定論には、ワクワク感のかけらもないのですが、投資家として正しい行動指針を固めるために必要な前提です。「役立つ情報/害となる情報」を考えることで、迷うことのない実践方法を見つけようという試みです。
 
少しの間、おつきあいください。
 

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 3.ズバリ銘柄情報が有益なケース

 
銘柄情報はダメ、と述べましたが、単なる有望銘柄情報が有効、つまり「投資の元となる情報として有益」「正しい投資活動が成り立つ」状況だってあります。2つのケースを挙げます。
 

(1)銘柄情報の受信者がプロ

確固たる投資基準をもつプロのファンドマネージャーなら、雑多に送られてくる有望銘柄情報を数多く見ても、気分だけで選ぶことなどないでしょう。
 
「雑多」と書きましたが、いろいろな着眼点があり得るという意味合いです。決して、無手勝流のグズグズではありません。そもそも、プロならば、クオリティが高くて落ち着いた情報源を選ぶはずです。
 

(2)選定基準が一貫している

銘柄選びの観点が多岐にわたることなく、相当に絞り込まれていたら、どうでしょうか。
 
あるときは短期的な値動き、あるときは経済テーマに合致する材料、またあるときは新製品の可能性……こんなバラバラなものではなく、終始一貫した銘柄選定ならば、貴重かつ有益な情報といえそうです。
 
ただし、当然のように、「うちの基準では現在、おすすめ銘柄がありません」なんて時期も生じるでしょう。のどがかわいて水を欲するがごとく、常に「有望銘柄は?」と最新情報を求めるのが平均的な投資家の姿です。だから、こういったまじめな投資情報は、商業的に成立しにくい……結果として、存在を期待できない、というのが残念な現実です。
 
 

 4.銘柄情報が多い理由

 
前項まで述べたように、きちんと分析すると、銘柄情報は多くの場合が誤りです。
それなのに、世の中の投資関連情報は「銘柄」ばかりです。
 
その理由は……すでに、前項の終わりに書いてしまいました。
 
情報産業は、最も厚い層をターゲットにします。
対象者が最も多い投資家層には、「ズバリこれです!」という銘柄情報が、ビジネス的に有効なのです。
 
投資家をレベル別に分けて分布図を描くと、上にいくほど細くとんがった三角形でしょう。つまり、平均値も、人数が多いのも意外と下のほうです。そして、そこに位置するのは、「ラクして儲けたい」と考える人たちだけなのです。
 
その層に沈んだままでは、成果が期待できません。
まずは、銘柄情報をさがして安易に採用しないよう、注意したいのです。
 
 

 5.日経平均を見るな

 
一般向けのニュースでも、投資家向けの市況解説でも、最初に、日経平均株価の騰落と水準を説明します。
 
「今日、株価はどうだった?」と聞かれて、数千もある上場銘柄の動向を説明するのは難儀なので、日経平均の動きに言及するのでしょう。しかし、日経平均などの「株価指数」だけで本当の株価動向を言い表すことはできません。
 
下に、6銘柄の約1年間の株価チャートを示します。
日経平均のほか、日経平均の算出対象(採用銘柄)である個別株5銘柄です。
 
※ すべて、「中源線シグナル配信」のチャートを加工したものです。
 
 
日経平均株価(指数)
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2502アサヒグループHD
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2768双日
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7205日野自動車
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9009京成
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9984ソフトバンクグループ
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2020年3月、いわゆる“コロナショック”の安値から、多くの銘柄が上昇しています。そういう意味では、この期間の日経平均の上昇は、株式市場全体の動きを示しているといえます。しかし、こうして個別株の値動きの波を見ると、かなりバラツキがあることがわかります。
 
もういちど述べますが、これら5つの個別株はすべて「日経平均採用銘柄」です。
それなのに、これだけバラバラなのです。
 
「今日の日経平均は……」ではじまる解説は、前項と同じ論理で、「多数の儲からない投資家層」向けの情報だといえるのです。
 

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 6.海外ニュースの重要性

 
投機資金は、国境を越えて活発に移動します。
また、世界経済と日本経済には密接な関係があります。
 
とはいえ、最近は、やたらと海外の情報が日本株の「材料」として紹介され、情報過多の傾向を強く感じます。例えばアメリカの雇用統計発表とか、以前は誰も知らなかったような指標が“重要な材料”のように報じられるのですが、いつもその場かぎり……。
 
同じくアメリカの金利水準について、近ごろやたらと「上昇したらたいへん」と報じられるようですが、むしろ経済回復に伴う正常化なのでは?
 
もちろん、どんな変化がマーケットにどのような影響を与えるかわからないので、個々の結びつけを全否定することもできませんが、「投資家の不安をあおっている」「不安心理を突いて記事を読ませようとしているだけ」と感じられるフシがあります。
 
日本の株価について「暴落論」「警戒論」を目にすることは多いのですが、「NYダウが34,000ドルを超えている。日経平均が3万円未満は安い」といった強気論を大手メディアが紹介することはないようです。
 
情報が恣意的につくられていると推測できるうえに、情報量が多すぎて、不要な不安を増幅させるだけだと懸念されるのです。
 
 

 7.買うならどっち?

 
投資家向けのネット広告で、こんなパターンのものを目にすることがあります。
 
2つのチャートが並んでいて、「買うならどっち?」と書いてある──クイズの答えが気になってしまいますが、予測の的中率は50%です。戦略によって見方も異なるので、「買うなら、明らかにこっち」なんて、いわゆる“正解”はありません。
 
「どちらにも手を出さない」とか「どちらの銘柄もカラ売り」なんて答えだってあるのが、売買の実践です。そういった選択肢が“最初から存在しない”という前提がそもそも間違っているので、この手の情報は二重にキケンですね。
 
「当たる予測があるなら、ぜひとも知りたい」と考えるのが、自然な心理です。
とはいえ、その心理を上手に利用しようという情報が非常に多いのです。この事実は、覚えておく必要があります。
 
 

 8.自動売買で儲かるか

 
同じくネット広告で「えっ?」と思うものがあります。
「FX自動売買で儲かる」「副業に最適」「損切りがあるから安心」といったものです。
 
カンタンに儲かる方法があったら、それを知っている誰かが驚異的な利益を上げ、世界中の金融マーケットを破壊するはずです。いや、すでに破壊されている、と考えるのが正しい論理です。
 
安定した利益を上げるために、トレードシステムやルールの利用価値はあります。
でも、安易に飛びついて満足できる結果が出るなんて、子どもじみた空想にすぎません。
 
参加者全員がガチンコで競争してカネを取り合っている──この基本的な構造を踏まえ、仕事などを通じて学んだ「自分自身の常識」を、そのままストレートに当てはめて考えるべきです。
 
ちまたの情報を評価するとき、うっかりの錯覚に陥ってはいけません。
 
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以上で前編を終了しますが、「あれもダメ」「これもダメ」なんて否定形のものが多かったので、「なるほど」と思いながらも、あまり明るい気持ちではないと思います。
 
後編(6月下旬公開予定)では、厳しい状況を打破して「有益な情報を見つける」ための突破口を説明します。お楽しみに!
 
 
 
 

── 後編 役立つ情報の選び方・つくり方 ──

 

 9.プロは「予測」に何を足すか

 
「銘柄情報だけではダメ」と述べました。
でも、否定だけでは行動が決まりません。
確固たる行動のために、「なにに着目すればいいのか」を考えましょう。
 
株式投資・トレード・相場・売買……スタイルによって呼び方は異なりますが、「マーケットの競争下で行動して利益を上げる」という狙いは同じです。しかし、いくら現実の的中率は50%を大きく超えません。逆に、サイコロをころがしても50%当たるのですが……。
 
50%の確率に賭けるのはリスキーです。
そもそも、「株価の上下を予測して、はいアタリ、はいハズレ」と判定されるゲームではありません。
 
予測は必ず必要です。
予測がなければ、行動はゼロのままですから。
 
でも、予測をもとにスタートしたあと、状況を見て対応するのが現実です。
  • 「上がる」と予測して買ったあと、見込みどおりに上がったらどうするのか?
  • いつまでねばるのか? どこで利食い手仕舞いして離脱するのか?
  • 見込み違いだったら? その判断基準は?
「雨は降らない」と予測してカサを持たずに出かけた結果、雨が降ってきた……見込み違いですが、仕方がないとズブ濡れで歩く人はいません。これと全く同じことです。
 
 

 10.「手法」という発想

 
銘柄情報に執着しなくなるだけで、視野は広がります。
「具体的にどう行動するか」という方法論、つまり、やり方を考えるようになるでしょう。
 
かたい表現を使えば、「手法」です。
 
手法のなかには当然、「予測法」の要素がありますが、それだけではありません。
手法は、以下の3つの要素がバランスよくそろうことで完成します。
  1. 予測法
  2. ポジション操作法(具体的な売買法)
  3. 資金管理法(リスクの調整)
ほとんどの投資関連情報は、これら3つのうち予測法だけです。
売買に直結させた場合、残り2つが欠落した状態ですよね。
  • 雨は降らないと予測したのに降ってきた……ズブ濡れ。
  • 予定した電車が運転見合わせ……その場に立ちすくむ。
大切なカネの問題なので、オトナとして当然の「対応」を重視すると、株式投資の行動、そのもとになる情報処理もスッキリします。
 
 

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 11.「なに」ではなく「どう」が優先

 
大切な部分に目を向けるため、「銘柄情報」を排除してみましょう。
銘柄はひとつ、日経平均でもソフトバンクグループでも、サッポロホールディングスでも、とにかく売買対象はひとつだけ、という状況を想像してみます。
 
「なに」(どの銘柄がいいか)という選択はないので、「どう」(どんなふうに売買するか)ということ、つまり前項で述べた「対応」を考えるしかありません。
 
この状況でも「上か下か」の二者択一は可能ですが、落ち着いて考えると、いろいろな発想が生まれます。
  • いつもポジションを持つのはムリかも
    →難しい局面をスキップしようか
  • 状況は一瞬で変化するなあ
    →数量を増減させて対応できないだろうか
  • 上げと下げ、どちらが取りやすいだろうか
    →上げだけを狙うか、下げだけを狙うか(カラ売り)、両方やるか
私が提唱する、「対応」を軸としたイメージにグッと近づきます。
でも、これらの言葉をよく見ると、「難しい局面」を判断するとか「狙う」とか、予測法の要素がしっかりあることがわかります。
 
ちまたの銘柄情報は、誰もが直面する現実を無視したものです。
だから、実践的な予測とは別もの、とても異質なものなのです。
 
 

 12.常に「BUT」

 
ここまで述べてきたように、出会った情報について、少し角度を変えて考えてみると異なる一面が見えます。
 
こうした姿勢を習慣にすれば、うっかり錯覚に陥ったり、特殊な意図のある恣意的な情報に惑わされることが格段に減るはずです。
 
基本は、「ホント?」と疑う姿勢、頭の中でディベートを模して反論してみることです。
どんな情報に対しても、「BUT」(しかし、だけど)で言い返してみるのです。
 
すぐに「この情報はよくない」と気づくかもしれません。
どうやっても否定しきれない、論破できないときは、その情報の価値を認識できるだけでなく、「なにが、どう有益なのか」が明確な言葉になります。
 
 

 13.好きか嫌いか

 
情報の評価、取捨選択、複数の情報から自分の売買を決めるプロセス……「相場は売りと買いの2つしかない」といわれますが、なかなか複雑なことを考える必要があります。
 
入手した情報に「BUT」で反論してみたりするうちに手に負えなくなり、いつしか「当たる銘柄情報はどれだ?」なんて路線に、逆戻りしてしまう可能性もあります。
 
身近なもので考えてみましょう。
理想の家、理想の旅行、理想の結婚相手……どれをとっても、万人が満足する答えはありません。
 
売買・トレード・株式投資は、複雑な思考を求められる、きわめて個人的な作業なのですから、本当の正解さがしは「好き嫌い」が基準になるはずです。「ワクワク感があるか」なんて基準でもいいでしょう。決して安っぽいことではなく、とても自然なアプローチです。
 
どれを選ぶかではなく、「選んだものを、長く、楽しみながら追究していけるかどうか」が重要だからです。
 
 

 14.不合理・不器用が前提

 
情報を多角的に考察し、好き嫌いを軸に自分の道を決める──。
 
プレーヤーとしての正しい姿勢が固まってきましたが、カネの増減という切実な問題があるので、「当てたい」という気持ちでギリギリまで攻めてしまう、ついムリをしてしまう……。こうして、株式投資における致命的なミスを呼びます。
 
複雑な思考をこなす半面、錯覚もあるというのが、私たち人間の特性です。
ミスをするのは、高い能力の裏返しなのです。
 
たとえ自分が器用だという自負があったとしても、“思いきり不器用”な人をイメージして、「そんな人でも大丈夫」な行動指針を基本とするべきです。
 
電車の運転士も飛行機のパイロットも、訓練を積んで仕事をしていますが、「それでもミスをする」ことを前提に運行(運航)を考えます。「そのミスをゼロにする」ために、幼稚とも思えるチェックマニュアルを使います。
 
個人の株式投資のような単独作業は、「大丈夫」との気持ちから雑になりがちです。
自分自身を監視する“もうひとりの自分”を設定して、売買行動の質がガクンと下がることがないレベル、やさしい範囲にとどめる勇気は欠かせません。
 
 

 15.相場本の正しい選び方

 
相場の勉強をするうえで、「どの本が適切か?」という質問をもらうことがあります。
実は、ありとあらゆる相場本の内容を把握していたとしても、この問いに答えるのは難しいのです。
 
好き嫌いが軸として重要ということは、単純に「よいわるい」を決めることができない、2つの考え方を比較して優劣をつけることもできないからです。
 
結論として、相場本の正しい選び方は……「目についたものを読んでみる」でしょう。
 
いいかげんなことを言っているのではありません。
目についた=なにか気になるものがある、ということですから、それが読むべき本ではないかという論理です。
 
ただ、売買の実践と同じで、読み方、読んだあとの対応が重要だと思います。
読む前に「自分の狙い」を決めるのです。「この本を読むと、疑問の○○がクリアーになる」といったゴール設定ですね。
 
これがあると、期待どおりの内容でなかった場合でも、新たな発見(役立つ情報)か、単なる雑音(害となる情報)かを落ち着いて評価することができます。
 
「クソ本だ!」と感じたときも、あらかじめ考えた狙いがあれば、なぜ内容に不満なのか、足りないものは何かなどと思考が働き、単なる残念な感情に左右されるのではなく、貴重な経験と知識が残ります。
 
 

 16.狙いを定める

 
株式市場では日々、いろいろな銘柄の価格が大きく変動しています。
場当たり的、スポーツ記事的な情報が飛び交うのも、当然のことです。
 
そんななか、独自の感性で「手法」を定めて売買に臨もう──これが、私からの提案です。
 
あらためて身近なもの、ラーメンにたとえてみます。
ラーメンといっても多種多様、昭和風のシンプルなもの、最近の進化したラーメン、本格中華料理店のラーメンなど、大ざっぱなジャンル分けさえ難しいくらいです。
 
でも、「ラーメンを食べたい」と思いついただけで、ある程度のところまで絞り込んでいると思います。どの路線にするかはおおむね決まっていて、あとは自分の好みで狙いはだいたい定まります。少なくとも、「どのラーメンが正解か……」と悩んでしまう人はいないでしょう。投資初心者のように「どの銘柄が上がるか?」なんて目をドルマークにして情報探しをする──そんなこともなくラーメン店を決めるはずです。
 
どの路線にするかが、株式投資における「手法」です。
その手法によってザックリと対象銘柄が絞られ、その手法に慣れて追究することで、自分の好みが明確になります。最終的には、選んだ銘柄の値動きを見て、最も大切な「対応」に集中することができます。
 
こんなイメージを納得できれば、無垢な投資家を惑わすだけの銘柄情報とは決別です。
 
 

 17.自己責任とは

 
株式投資は自己責任──。
はい、そのとおりです。
 
でも「自己責任」という言葉を、どんなふうに捉えますか?
 
よく使われる事例を考えると、「言うとおり、規則通りにしておけば安心です。結果も上々ですよ」と思わせておいたのに、そう思わせた側の人間が突然に「自己責任です」と逃げる……こんな状況を非難して「自己責任とはなんだ!」って憤るケースが多いようです。
 
しかし本来、すべての行動が責任を伴うのは当然です。
 
自己責任とは、「うまくいったら儲けはすべて自分のもの」「損も自分がかぶる」という、実に当たり前のことを示しているにすぎません。
 
とくに株式市場は、最低限の取引ルールを守りさえすれば、いくら儲けても非難されません。実現した利益から税金を払った残りは、すべて自分のものです。肩の力を抜いて、「自分が株式市場をどう利用するか」を考えましょう。
 
 

 18.株式投資の核心が見えた

 
株式市場で価格がついている、ということは、真剣に「買いだ」と思っている人と、確信をもって「売りだ」と判断した人が同様に存在するわけです。
 
だから、絶対的な答えを期待させる「診断」なんて不可能で、きわめて個人的な価値観による「判断」があるだけなのです。そして、誰が何を持ちだしても、的中率は常に50%……。
 
すでに述べたように、「買った。上がった」のあと、どうするか。「上がると思って買ったのに下がりそう」と感じたらどうするか──独自の判断・決断と行動が、ずっと継続するのです。
 
情報も同じです。
株価という単純な情報もあれば、「強い」とか「弱い」など価値判断が付加された情報もあります。それを見聞きして評価すれば、脳内に新たな情報が生まれます。それをもとに行動した結果が次の情報で、それを受け止めて次の最新情報が……無限連鎖です。
 
株式投資の王道は、「自分のなかで情報をコントロールすること」なのです。
 
 

 19.お手本はどこだ?

 
実践論の終着点として、林投資研究所は、「相場技術論」を支持します。
他人の情報に頼らず、ムリに当てようともせず、常に“次の一手”を考えて対応することで、どうにか利益を得ようとする実践的な試みです。
 
この考えに基づいて、以下に挙げるような投資手法を提唱しています。
ペン習字のお手本のように、ひとつの完成形を「なぞってみる」、自分自身を一定期間「型にはめてみる」のが、間違いのない進み方です。
 
もちろん、世の中には、あなたにもっと合う“お手本”があり得ます。
今回示したことをヒントに、上手に情報を分析・評価してみてください。

1)FAI投資法

低位株が数年かけて形成する上昇トレンドを狙う、分散投資法です。
ハードルが低くて入りやすい考え方が、29項目のルールにまとめられています。
 
 
 
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2)うねり取り

ちょっと職人的な売買で、銘柄を絞って数カ月単位の上げ下げを往復狙います。
(上げは現物買い、下げは信用取引のカラ売りで取る)
“待ったなし”の部分がありますが、ある意味、とてもシンプルです。
 
 
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3)中源線建玉法

うねり取りは判断が難しい……では「値動きを機械的に判断しよう」といういことで、実践者が理想と考える3分割のポジション操作を、単純なルールとして規定したものです。
 
 
 
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