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高齢者の事故に思う相場の「退き際」
~オトナの運用を追究する~

2019年9月27日 後篇を追加!
 
今、高齢ドライバーの交通事故が、社会問題のひとつです。
 
交通事故の課題を考え、高齢化社会における「事故を起こさないオトナの資産運用」という、私たち個人投資家の大切なテーマにつなげてみました。
 
 
 

 

 

前篇 便利すぎるのか

2019年7月24日公開

 
 

1.高齢者の事故は本当に増えているの?

 
「インターネット上の情報は怪しい」
「テレビをはじめ大手メディアの情報はスポンサーの意向で決まる」
「あいつは、自分に都合のいいことしか言わない」
 
情報は、特別な意図や悪意がなくても偏るものです。
ニュースの映像を見て「最近は竜巻が多く発生する」と感じますが、昔は映像がないためニュースで取り上げることも少なかったのに、今は一般視聴者がスマホで撮影した動画を提供するので報道の頻度が高くなった、映像によって印象も強く残る(結果、実際よりも極端に竜巻の発生が増加したと感じる)、という解説には説得力があります。
 
では、社会問題となっている高齢ドライバーの事故は、私たちが報道から感じ取っているほど増えているのでしょうか?
 
 

2.「ひとごとでない」のは確実

 
自動車事故は、依然として10代、20代の若者によるものが多いという統計データもあります。でも、重要なのは件数や年代別の比率ではありません。実際、高齢ゆえの操作ミスが事故につながるケースは多いうえに、今後さらなる高齢化が進むのです。
 
年にたった1件の死亡事故であっても、尊い命が失われ、その人の周囲の人も悲しい思いをします。昨年、親戚の娘が妊娠中、買い物に立ち寄った店に、操作ミスの車が飛び込んできました。幸い、かすり傷ですみましたが、同じころ、オフィスを構えていた池袋で高齢者ドライバーが親子を死亡させる事故が起きるなど、「ひとごとではないんだ」と強く認識させられました。
 
「事故を起こすなどの大失敗をせず、長く健康に生きる」
「(歩行者として)事故に遭う確率を下げる」
「そのうえで、運転することも含めて積極的に人生を楽しむ」
 
社会の問題というよりも、“自分自身のこと”として考えるべき課題です。先日の「老後2000万円」問題で浮かび上がった大切な観点でもあります。
 
 

3.実際、鈍くなるよね

 
私は、乗り物を自分で動かすことが好きで、いろいろな免許を持っていますが、今年で56歳、娘からは「初老だから」などとからかわれるほど、忘れ物やうっかりが増えました。運転も、年相応に鈍くなっていることを実感します。
 
脳内のイメージ、若いころのリズムやタイミングに、体がついてこないんですよね。
 
慣れているはずなのに、ほんのちょっと、いつもと手順が異なるだけで想定外の勘違いがありそうだと、事故のニュースを見ながら思います。
 
カギ、サイフ、スマホ、目薬──私が外出するとき、ポケットやカバンに入れるものですが、「あれっ、スマホがない!」と、スマホを右手に握りしめたままパニクってキョロキョロした経験があります。ちょっとだけ順番がちがったのです。
 
運転中に同じことをしたら……リアルに想像してしまいます。
 
 

4.高齢ドライバーの資格

 
多少の運動機能の衰えは本人の注意でそれなりにカバーできるかもしれませんが、自分の体の状況を正確に認識すること自体が困難な部分もあるようです。ブレーキペダルを踏むため、つま先を上げているつもりが実は上がっていない……若い人には想像できないことが起こり得ます。
 
最も問題視されているのは、認知症の状態で運転するケースです。また、健康であっても、ひとりで運転していて突然、意識を失う可能性も否定できず、高齢なほど確率も高いでしょう。
 
かといって、一律に年齢制限を設けることはできません。それどころか、高齢者免許更新時のテストで危なっかしい運転を披露しても、カンタンに免許証を取り上げることはないようです。警察官だって、今まで運転してきた人から運転資格を取り上げるのは、同じ社会にいる人間として抵抗があります。忖度(そんたく)しちゃいます。
 
運転経験が少ない人ほど、衰えたことを自覚しにくいかもしれません。全員が意識を高めることや、運転をやめても不便にならない仕組みなども求められます。
 
 

5.車の進化と人間の変化

 
私が運転し始めた70年代~80年代、車にはまだ“マシン”という雰囲気が残っていました。クセのある車は寒いとき、エンジンをかけるのにひと苦労するとか、ステアリングが重いため、ビシッと位置決めしてピタッとしたタイミングで切り始めないと車庫の出し入れができないとか……。
 
それに比べて今の車は、とてもよく作られています。ただ、便利かつ手軽になりすぎて、使う側の人間がつい手を抜いている可能性はあります。
 
今やサンダル感覚の乗用車ですが、人間のタスクは減っていません。
 
オートマチック車だと車庫入れ時の取り回しを素早く行うことができますが、自宅の車庫で小さい子どもに気づかず、ササッと車を動かしてひいてしまう事故が意外とあり、ワゴン車のケースが多いそうです。これは、ぜひとも覚えておいてください。
 
 

6.自動運転を考える

 
自動運転が一般化するのも、もはや時間の問題なのでしょう。でも、すべての車が自動運転されて完ぺきに動くとは決まっていません。人が運転する機会も残ります。
 
まだ研究途上ですが、100%自動運転よりも、いざとなったら人間が手を出せる設定のほうがキケン、事故になる確率が高いという報告があります。いっそ昔のように不便な乗り物に戻したほうが事故も減るのでしょうが、そうもいきません。
 
横断歩道を渡ろうとしている歩行者を無視して車が通り過ぎるのが、日本では一般的な光景……止まるのがルールなのに。車道に描かれた菱形の標示が「前方に横断歩道あり」だと知らないドライバーが、全体の7割というデータもありました。
 
歩行者だって負けていません。信号が赤だろうが救急車が近づいていようが、かまわず歩いて車にブレーキをかけさせます。自転車のマナーのわるさは、あらためて述べる必要もないでしょう。
 
高齢者うんぬんではなく、交通ルールをちゃんと議論してから次のステージ、自動運転の世界を考えるべきです。社会派を気取るのではなく、自分が車にひかれたくないから、こんなことを述べています。
 
 

7.日本の高齢者は元気だ

 
身近な例ですが、「相場をやっている人とゴルフをやっている人は、年齢に関係なく元気だ」という実感があります。
 
日本人の体に肉食は合わないという専門家の意見もありますが、元気な高齢者はガツガツと肉を食べる印象があります。まあ、「肉を食べるから元気」という因果関係ではなく、「元気な人が肉を好んで食べる」というだけかもしれませんけどね。
 
もう少し根拠のある「高齢者元気説」を示しましょう。
 
冒頭で触れた「老後2000万円」で注目された金融庁・金融審議会の報告書には、高齢社会を考える材料として、「日本の高齢者は元気だ」という解説があります。
 
先日書いた「まとめ記事」(全文はこちらをクリック)では、炎上のきっかけを“切り取り報道”としましたが、試しに「高齢者は元気だ」という部分を切り取ってみます。
 
報告書で示された根拠は、ほかの国や地域の高齢者との比較です。
 
日本の高齢者は・・・
・就労者の割合が格段に高い
・運動レベルが高く、労働意欲が旺盛
・思考レベルも高い(数的思考力や読解力テストのスコアがよい)
・インターネットの利用率が高い
 
あなたは、なにを感じますか?
私の意見を、次の項で述べます。
 
 

8.きっかけ

 
前項で、「日本の高齢者は元気」という説を紹介しました。
 
もしかしたら、「政府の陰謀にまんまと乗って働きつづけるだけかよ」なんて反論されそうですが、自分のことを大切に考えたら、注目を浴びている「健康寿命」が長く、ずっと働くことのできる丈夫な体があるのが理想です。
 
陰謀おおいにけっこう、まんまと乗せられて、自分の利益のために考えたいと思うのです。
 
しかし、元気かつネット社会にキャッチアップしているということは、先ほど挙げた「便利すぎる」部分で、落とし穴にはまる可能性も高いという懸念も生じます。
 
こういった観点をポイントに、後半では、メインテーマである「事故を起こさないオトナの資産運用」「相場の退き際」を論じます。
 
お楽しみに!
 
 
 

後編 相場の退き際を考える

2019年9月27日公開

 
 

1.前提は高齢化社会

 
日本の少子高齢化は深刻な問題です。
 
多くの要因を挙げることができ、観点もさまざまですが、「若者が将来について不安」とまとめることもできそうです。
 
なにかにつけて「コスパ」(コストパフォーマンス)という観点で“計算”するのは、情報化社会の副産物でしょうが、結婚、出産、子育てといった活動にブレーキをかけるのは、人生に対するワクワク感が足りないからではないかと思うのです。
 
少なくとも私の世代まで、多くの若い男は、「彼女がほしい」「そのためには車だ」「バイトして車を買おう」なんて、現代の若者が「コスパがわるい」と否定する行動をとり、なんの疑いもなく突進していました。
 
ある意味、本能に忠実で正常なことですが、それを守る構造もありました。
オトナたちが未来の不安を語ることはなく、昔の大家族は、それこそコスパもよく、若い夫婦の子育てを支援する最高の仕組みだったのかもしれません。
 
しかし、時代は変化しました。
予見が難しかった部分もあるでしょうが、人口問題は半世紀近く前から問題視されていたのに、対策が遅れに遅れてしまったと感じます。
 
そんな状況ではありますが、不平を口にしたり嘆いたりする前に、「自分の環境」を考えてみましょう。
 
 

2.高齢者ゆえの事故

 
前篇では、ニュースを見て感じるほどに高齢者の事故が増えているとは思えない、といった趣旨のコメントをしました。でも、現在の車には、高齢者が事故を起こしやすい特性もあるようです。
 
前篇でも、ひとつの要因を挙げました。
「便利かつ手軽になりすぎて、使う側の人間がつい手を抜いている可能性」です。
 
しかし、別の問題を挙げる専門家がいます。
EV車(電気自動車)やハイブリッド車のパワーです。
 
どちらも、電気モーターで駆動するので、エンジンに比べて低回転でのトルクが高く、車はスムーズかつ快適に動き出すのですが、踏み間違いをしたと気づいたときにはスピードが出ていて対処が遅れる、一瞬パニックになって体が動かなくなる……そんなケースもあるのだということです。なるほど!
 
高齢者の事故が注目されて以降、操作ミスをゼロに近づける研究が一層盛んになっているようです。技術革新に期待しましょう。
 
さて、金融取引にも、「勢いでやってしまうミス」「止められない状況」があります。
とても多いのが、内容を理解せずに金融商品を買ってしまう事例です。
 
高齢者の息子や娘が「あのお金、どうしたの?」と質問すると、「証券会社の人がいいって言うから、なんとかって国のなんとかを買ったんだよ」と実に頼りない。よくよく聞くと、新興国の通貨をたっぷりと買っていて、説明もあったけど、早口でたくさんのことを言われた記憶しかない──こんな話は枚挙にいとまがありません。
 
新興国の通貨が絶対にダメ、なんて言いません。
でも、利回りが高いかわりにリスクもあるのが当たり前。強くすすめられたから「じゃあそれを」なんて、居酒屋でつまみを注文するように返事してはいけませんし、運用する総額に対する金額、つまりバランスについても考える必要があります。
 
 

3.ひと呼吸が明暗を分ける

 
新聞などで「金融リテラシー」という言葉が使われますが、いまひとつピンとこない、届かないという人も多いのではないでしょうか。金融リテラシーという単語については、「最低限身につけておくべき、金融・経済の知識と判断力」なんて説明もありますが、この表現には「難しいことを勉強しなきゃいけないのか」と強い義務感を生む脅迫的なものがあります。
 
でも、臆する必要など全くありません。
人生の先輩として、堂々と構え、金融の専門家とも落ち着いて対話しましょう!
 
「よくわからんぞ。わかるように説明してくれ」
「販売手数料が高いから、すすめるんだよね。それはいいよ、商売だから。で、こちらのメリットとデメリットは?」
 
投信、債券、保険・・・金融は、ちょっとしたアイデアが複雑な仕組みに発展する世界です。だから、内部にいる専門家だって、分野が異なるだけで「知らない」「わからない」状態に陥り、「それなに?」と質問するのです。
 
「難しくてわからないけど、すごくいいって言ってる……」
こんな状態で話を進めず、「ちょっと待って」と言いましょう。
 
運転だって同じです。
周囲のドライバーがちょっとイラッとするかもしれないと感じつつも、「まあ、慌てるなよ」とつぶやきながら、十分に状況を確認して次の動作に移る気持ちがあれば、操作ミスをグッと減らすことができそうです。
 
一方の金融取引は、運転のように一瞬ではなく、じっくりと考える余裕があります。商品知識が足りなくても、それをカバーして答えを出すための経験値があるのですから、“まずはひと呼吸”がキーワードです。
 
強引な勧誘のみならず、あからさまな詐欺行為に対しても、「ひと呼吸」が有効です。
 
 

4.大きなエンジンで静かに走る

 
現代の自動車は、パワーがある、低速トルクがある、操作がラク──事故につながる要因でもあるわけですが、使う人の姿勢によってプラス要因として生かせます。
 
らくらく時速200キロ出せる車で、調子に乗ってガンガンとアクセルを踏んだらキケンです。でも、同じ時速100キロで走るのに、馬力の小さい軽自動車よりも、でかい車体にでかいエンジンを積んだ車のほうが、いろいろな面で安全に決まっています。
 
下品に飛ばす車がいても気にせず、事故を誘発しないよう、事故に巻き込まれないよう注意しながら、でっかい車で優雅に、静かに走るのがオトナです。
 
資産運用の正しい姿勢は、これと全く同じです。
 
若い世代には、FX取引を利用して「3万円を短期間で100万円にする」なんてことを狙っている者も多いのですが、“100万円を達成するかゼロにするか”の単なるバクチです。仮に100万円まで増やすことができたら、「100万円を3千万円にする」なんてことをもくろむに決まっています。
 
アブない行動はエンドレスで、どこかで必ず破綻します。
 
あるいは、「きちんと株式投資をしよう」と決意した場合でも、「現物の売買で少し慣れたら、信用取引も駆使してレバレッジをかけ()、効率よく利益を狙うべきだ」なんて、どこで吹き込まれたのか、前述のFX取引の例ほどではないにしても、いつかドボンするポイント、大失敗して運用資金が大きく目減りするときが訪れます。
 
 レバレッジ
各種の取引制度を利用すれば、実際の資金以上にポジションを取ることができますが、わずかなブレが大損につながり得るので、バクチ感覚で利用してはいけません。
 
人生経験があれば、「3万円を100万円」なんて発想にムリがあることは理解できます。
 
大きなエンジンをゆっくりと回す──例えば、1億円あっても2千万円しか動かさずにいれば、失敗して半分を飛ばしても損失は1千万円、総額の10%にとどまります。
 
たとえタネ銭が500万円でも、同じように抑えて動かすのが、資産運用の基本です。「増やす」よりも「減らさない」という感覚が、軸になっていなければなりません。
 
 

5.定年デビューの悲劇

 
「株式投資の経験はゼロ。でも、定年退職したら、退職金で本格的に株の売買を行う。そのために今、勉強しています」
 
こういう人がいますが、きわめてキケンです!
 
十分な人生経験があれば、株式市場の特殊な変化、一般社会にはない特別な事象を受け止めることは可能ですが、定年になった時点で「いざ!」と意気込む部分は否定できず、ボタンの掛け違えから悪循環に陥るケースが非常に多いのです。
 
もっと前から、少額資金、小ロットの売買を行い、定年後にスタートする資産運用、減らしてしまったら取り戻せない勝負をどう進めるか、しっかりと見極めなければいけません。
 
そもそも、「カネを増やすなら株式投資だ!」なんて力を入れている時点でダメ。
オトナの視点ではありません。
 
「資産は全額、金利がわずかな普通預金に入れておく」というのも、資産運用の立派な選択肢です。資産運用とは、「カネをどこに置いておくか」を考えることです。
 
ちなみに、多くの投資関連情報は「オススメ銘柄」に焦点を当てています。
そんな子どもだましの情報ではなく、「やり方」「取り組み方」「考え方」を学べるものを、オトナの眼力で見つけて勉強することが重要です。
 
 

6.加齢で記憶力低下はウソ

 
年をとると物忘れが多くなる──科学的には、そんなことはないそうです。
ただ、50歳を過ぎれば、「今から頑張っても人生が激変することはない」と悟っているとか、前頭葉の老化などによって、意欲や気力と密接な関係のあるホルモン「テストステロン」が減少するとかで、若いときのようにしっかり復習しないから忘れる、といったことがあるようです。
 
この問題の解決には、意欲の維持や効果的な動機づけなど、自己啓発的なテクニックが有効なのでしょうが、それはそれとして、「能力は落ちていない」うえに「悟っている」ことを武器に、オトナの資産運用を考えればいいのです。
 
NHKの番組「チコちゃんに叱られる」で取り上げていましたが、一定の年齢になって「あの人の名前なんだっけ?」が増えるのは、記憶力の低下といった能力の減退ではないそうです。
 
人間は、他人の顔を認識する能力が非常に優れていて、顔を覚えるキャパ(記憶容量)は無限だし、コンマ数秒で顔を認識したり記憶したりできるとのこと。しかし、名前を覚えるのは脳の別の部分で、キャパは意外と小さい……一定の経験を重ねて多くの人の顔と名前をインプットした結果、顔は思い出せるのに「名前なんだっけ?」がどんどん増える、こういうカラクリだとか。
 
なるほど、不安がひとつ減りましたね。
 
 

7.オトナの“ゆとり”

 
年をとっても記憶力が落ちることはなく、経験を積んだことで判断能力は高まります。
半面、そんな変化を「心のヨゴレ」なんてネガティブに表現することもあります。
 
ネット上でちょっと話題になった、小学校のテスト問題を紹介します。
順番がバラバラになったひらがなを並べ替えて、言葉を完成させるというものです。
 
い・か・す → すいか
の・ね・た・き・か → かきのたね
 
この要領で言葉を見つければいいのですが、話題になったのは次の問題。
 
ち・お・ん・ま・こ・さ・ら → ???
 
多くの人の反応は、「読めねぇ」「下品な言葉が浮かぶだけで読めません」「心が汚れているので並べ替えることができない。落ち着かない」等々、かなりトホホなものばかり(笑)。
 
正解は、「おこさまらんち」(お子様ランチ)です。
 
中には、正解がわかったあとで、「この問題を作った先生、狙ってんだろ!」などとコメントする人もいました。いやはや、なんとも・・・
 
ひとつのネタですが、真剣に掘り下げるとおもしろいことが見えてくると思うのです。
 
オトナだからボキャブラリーが豊富だし、漢字やカタカナを利用して読みやすい表記をする知恵もあります。だから読みにくいだけ。さらには、「下品な言葉が見える」とか「心が汚れている」などと自己卑下するのも、オトナの余裕です。
 
金融取引でも、これくらいの余裕をもつべきです。
いや、大切なカネにかかわる金融取引こそ、こういった態度でゆっくりと応じるべきです。
 
 

◎まとめ(結論)

 
タイトルに掲げたのは、相場の「退き際」です。
 
車の運転については状況によって引退の決意を求められるのかもしれませんが、高齢を理由に金融取引を中止する必要はないと考えます。
 
金融取引の中で非常に積極的な「相場」という行為についても、基本的には、退き際を考えることはないでしょう。
 
高齢者ほど、オトナの力を発揮し、高い視点で状況を見極めながらも、行動を狭い範囲にとどめておくことができます。自らの状態を冷静に観察し、運用額を減らしたり売買頻度を落としたり、そんな調整も可能です。
 
株好き、相場好きの投資家のなかには、「適度に年をとって半ボケくらいがちょうどいい」なんて冗談を言う人もいますが、「必要なときにはサッと行動できる」という自信と、「そもそも、やりすぎないから安全」という自負があって言っていることでしょう。
 
私の父である林輝太郎は、1926年(大正15年)生まれで、終戦後から相場の世界に身を置いていました。若いころはムチャをしてスッテンテンになった経験もありますが、その後は、意図的に休み(ポジションがゼロの状態)をつくりながら、自分の得意パターンで出動することを大切にして、晩年まで相場を張っていました。
 
2012年2月28日、「なんだか調子がわるい」と検査入院した当日の夜に他界しましたが、直前まで月足で多数の銘柄のトレンドをチェックし、毎日の終値を場帳につけながら「まだダメか」とつぶやいていました。
 
ちょうど、誰も経験したことがないほど値が動かず、マーケットに全く人気(ひとけ)を感じられないほどの状況だったこともあり、資金稼働率(現物買いポジションに充当していた率)は2~3割程度だったと記憶しています。
 
年を重ね、亡くなる間際は体調の悪化で会話を億劫がりましたが、相場を見るときの目と、独り言のようなつぶやきは最後まで同じでした。
 
金融取引、相場、トレード……「直感と度胸で勝負」とか「ギリギリの判断と駆け引きでピンチを乗りきる」なんてイメージは、映画やドラマで使われるデフォルメ(変形・歪曲した表現)です。
 
多くの株トレーダーたちが、ポジションを取りすぎてしまう状況を「ポジポジ病」と呼んで自ら問題視していますが、その逆の発想こそが正しい姿勢、オトナの運用です。
 
すなわち、「すべて現金の状態がニュートラル」と定義するのです。
 
ポジションを取る=とても積極的な状況、疲れる、もとに戻るのがゴール
すべて現金=外出から戻ってリラックスする状況、次の戦略を考える時間
 
行動に適切なメリハリをつけ、困難だらけの相場を楽しむ余裕をつくってください。

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