ホーム > 読みもの

高齢者の事故に思う相場の「退き際」
~オトナの運用を追究する~

 
今、高齢ドライバーの交通事故が、社会問題のひとつです。
 
交通事故の課題を考え、高齢化社会における「事故を起こさないオトナの資産運用」という、私たち個人投資家の大切なテーマにつなげてみました。

前篇 便利すぎるのか

7月24日公開

 
 

1.高齢者の事故は本当に増えているの?

 
「インターネット上の情報は怪しい」
「テレビをはじめ大手メディアの情報はスポンサーの意向で決まる」
「あいつは、自分に都合のいいことしか言わない」
 
情報は、特別な意図や悪意がなくても偏るものです。
ニュースの映像を見て「最近は竜巻が多く発生する」と感じますが、昔は映像がないためニュースで取り上げることも少なかったのに、今は一般視聴者がスマホで撮影した動画を提供するので報道の頻度が高くなった、映像によって印象も強く残る、という解説には説得力があります。
 
では、社会問題となっている高齢ドライバーの事故は、私たちが報道から感じ取っているほど増えているのでしょうか?
 
 

2.「ひとごとでない」のは確実

 
自動車事故は、依然として10代、20代の若者によるものが多いという統計データもあります。でも、重要なのは件数や年代別の比率ではありません。実際、高齢ゆえの操作ミスが事故につながるケースは多いうえに、今後さらなる高齢化が進むのです。
 
年にたった1件の死亡事故であっても、尊い命が失われ、その人の周囲の人も悲しい思いをします。昨年、親戚の娘が妊娠中、買い物に立ち寄った店に、操作ミスの車が飛び込んできました。幸い、かすり傷ですみましたが、同じころ、オフィスを構えていた池袋で高齢者ドライバーが親子を死亡させる事故が起きるなど、「ひとごとではないんだ」と強く認識させられました。
 
「事故を起こすなどの大失敗せず、長く健康に生きる」
「事故に遭う確率を下げる」
「そのうえで、運転することも含めて積極的に人生を楽しむ」
 
社会の問題というよりも、“自分自身のこと”として考えるべき課題です。先日の「老後2000万円」問題で浮かび上がった大切な観点でもあります。
 
 

3.実際、鈍くなるよね

 
私は、乗り物を自分で動かすことが好きで、いろいろな免許を持っていますが、今年で56歳、娘からは「初老だから」などとからかわれるほど、忘れ物やうっかりが増えました。運転も、年相応に鈍くなっていることを実感します。
 
脳内のイメージ、若いころのリズムやタイミングに、体がついてこないんですよね。
 
慣れているはずなのに、ほんのちょっと、いつもと手順が異なるだけで想定外の勘違いがありそうだと、事故のニュースを見ながら思います。
 
カギ、サイフ、スマホ、目薬──私が外出するとき、ポケットやカバンに入れるものですが、「あれっ、スマホがない!」と、スマホを右手に握りしめたままパニクってキョロキョロした経験があります。ちょっとだけ順番がちがったのです。
 
運転中に同じことをしたら……リアルに想像してしまいます。
 
 

4.高齢ドライバーの資格

 
多少の運動機能の衰えは本人の注意でそれなりにカバーできるかもしれませんが、自分の体の状況を正確に認識すること自体が困難な部分もあるようです。ブレーキペダルを踏むため、つま先を上げているつもりが実は上がっていない……若い人には想像できないことが起こり得ます。
 
最も問題視されているのは、認知症の状態で運転するケースです。また、健康であっても、ひとりで運転していて突然、意識を失う可能性も否定できず、高齢なほど確率も高いでしょう。
 
かといって、一律に年齢制限を設けることはできません。それどころか、高齢者免許更新時のテストで危なっかしい運転を披露しても、カンタンに免許証を取り上げることはないようです。警察官だって、今まで運転してきた人から運転資格を取り上げるのは、同じ社会にいる人間として抵抗があります。忖度(そんたく)しちゃいます。
 
運転経験が少ない人ほど、衰えたことを自覚しにくいかもしれません。全員が意識を高めることや、運転をやめても不便にならない仕組みなども求められます。
 
 

5.車の進化と人間の変化

 
私が運転し始めた70年代~80年代、車にはまだ“マシン”という雰囲気が残っていました。クセのある車は寒いとき、エンジンをかけるのにひと苦労するとか、ステアリングが重いため、ビシッと位置決めしてピタッとしたタイミングで切り始めないと車庫の出し入れができないとか……。
 
それに比べて今の車は、とてもよく作られています。ただ、便利かつ手軽になりすぎて、使う側の人間がつい手を抜いている可能性はあります。
 
今やサンダル感覚の乗用車ですが、人間のタスクは減っていません。
 
オートマチック車だと車庫入れ時の取り回しを素早く行うことができますが、自宅の車庫で小さい子どもに気づかず、ササッと車を動かしてひいてしまう事故が意外とあり、ワゴン車のケースが多いそうです。これは、ぜひとも覚えておいてください。
 
 

6.自動運転を考える

 
自動運転が一般化するのも、もはや時間の問題なのでしょう。でも、すべての車が自動運転されて完ぺきに動くとは決まっていません。人が運転する機会も残ります。
 
まだ研究途上ですが、100%自動運転よりも、いざとなったら人間が手を出せる設定のほうがキケン、事故になる確率が高いという報告があります。いっそ昔のように不便な乗り物に戻したほうが事故も減るのでしょうが、そうもいきません。
 
横断歩道を渡ろうとしている歩行者を無視して車が通り過ぎるのが、日本では一般的な光景……止まるのがルールなのに。車道に描かれた菱形の標示が「前方に横断歩道あり」だと知らないドライバーが、全体の7割というデータもありました。
 
歩行者だって負けていません。信号が赤だろうが救急車が近づいていようが、かまわず歩いて車にブレーキをかけさせます。自転車のマナーのわるさは、あらためて述べる必要もないでしょう。
 
高齢者うんぬんではなく、交通ルールをちゃんと議論してから次のステージ、自動運転の世界を考えるべきです。社会派を気取るのではなく、自分が車にひかれたくないから、こんなことを述べています。
 
 

7.日本の高齢者は元気だ

 
身近な例ですが、「相場をやっている人とゴルフをやっている人は、年齢に関係なく元気だ」という実感があります。
 
日本人の体に肉食は合わないという専門家の意見もありますが、元気な高齢者はガツガツと肉を食べる印象があります。まあ、「肉を食べるから元気」という因果関係ではなく、「元気な人が肉を好んで食べる」というだけかもしれませんけどね。
 
もう少し根拠のある「高齢者元気説」を示しましょう。
 
冒頭で触れた「老後2000万円」で注目された金融庁・金融審議会の報告書には、高齢社会を考える材料として、「日本の高齢者は元気だ」という解説があります。
 
先日書いた「まとめ記事」(全文はこちらをクリック)では、炎上のきっかけを“切り取り報道”としましたが、試しに「高齢者は元気だ」という部分を切り取ってみます。
 
報告書で示された根拠は、ほかの国や地域の高齢者との比較です。
 
日本の高齢者は・・・
・就労者の割合が格段に高い
・運動レベルが高く、労働意欲が旺盛
・思考レベルも高い(数的思考力や読解力テストのスコアがよい)
・インターネットの利用率が高い
 
あなたは、なにを感じますか?
私の意見を、次の項で述べます。
 
 

8.きっかけ

 
前項で、「日本の高齢者は元気」という説を紹介しました。
 
もしかしたら、「政府の陰謀にまんまと乗って働きつづけるだけかよ」なんて反論されそうですが、自分のことを大切に考えたら、注目を浴びている「健康寿命」が長く、ずっと働くことのできる丈夫な体があるのが理想です。
 
陰謀おおいにけっこう、まんまと乗せられて、自分の利益のために考えたいと思うのです。
 
しかし、元気かつネット社会にキャッチアップしているということは、先ほど挙げた「便利すぎる」部分で、落とし穴にはまる可能性も高いという懸念も生じます。
 
こういった観点をポイントに、後半では、メインテーマである「事故を起こさないオトナの資産運用」「相場の退き際」を論じます。
 
お楽しみに!

林投資研究所投資助言・代理業 関東財務局長(金商)第2602号
一般社団法人日本投資顧問業協会会員

〒162-0041 東京都新宿区早稲田鶴巻町571 DIABOX2 702 TEL 03-5261-5101  FAX 03-5261-5102

※ご注意:林投資研究所は、証券取引行為や金銭・有価証券の預託貸付は行いません。