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前編 ”使える”投資法/トレードシステムを見分ける7つのポイント

売買を実行するうえで、とても大切なのに忘れがちなのが、「どんな道具を使うか」という観点です。
 
株価や関連データの分析方法や評価の仕方は、人によってちがいます。
つまり、どの部分をどう分析するか、どうやって具体的な売り買いに結びつけていくか、という方法論です。
 
今回は、多くの人に共通するテーマを取り上げました。
 
ずばり、「“使える”投資法/トレードシステムを見分ける7つのポイント」です。
 
わかりやすくするため、具体的な売り買いにつながる直接的なツール、いわゆる「売買システム」に焦点を絞りますが、裁量が中心の売買法も含めて、大切なポイントは同じです。
 
売買のルールを、すべて自分でつくり上げるのは難しいので、既存の投資法(売買法)を選ぶケースが大半でしょう。でも、なんとなく選んでしまうと、その方法をうまく使いこなすことができません。サイアクなのは、手法として致命的な問題があることに気づかず、宣伝文句に踊らされて盲信してしまうことです。
 
よい投資法、機能する売買システムの条件はなにか?
完成度の高いルールはどんな構造なのか?
宣伝や説明のどこを見てホンモノかどうかを見分けるのか?
 
これらについて、「プロの常識」を当てはめて解説します。

 

前編 ”使える”投資法/トレードシステムを見分ける7つのポイント

 

1.確実に損切りできるルールがある

 
 
とにかく損切りが大切だ──。
多くの実践家が、ホンネで語ったときに口にする言葉です。
 
あまりに重たく受け止めてしまうと、「損切りすればいいんだ」ということで、軸となるべき“利益の出し方”が薄くなってしまいます。これでは本末転倒……。
 
とはいえ、軸である“利益の出し方”は、「こうきて、こうきて、こうなる」というように具体的な値運びを想定したものです。「必ずこうなる」なんて決めてかかるわけにはいきませんが、ある程度の範囲で想定しておきます。
 
しかし、その「儲ける想定」から、現実の値動きが大きく外れたら、ポジションを維持する理由が消えてしまいます。「せっかくやったのだから……」と考え、その苦しい状態のポジションに手を加えてどうにかしようとするのが人情ですが、確固たる基準を失った先送りです。多くの人がやってしまいますが、プロの発想では御法度なのです。
 
想定から外れた・・・日常生活なら、例えば「まちがった電車に乗った」ことに気づいた、「正しい電車に乗り換える方法すらわからない」「もしかしたら、方向が真逆かもしれない」という、判断をすることすら難しい状況です。
 
ということは、とにもかくにも撤退するしかないのです。
 
ポジションを取ったあとの値動きを見て「あれっ、ちがうぞ」・・・
こう感じた瞬間に、まずはポジションを切ってしまうしか打つ手はないのです。キツいようですが、実践的には正しいことなのです。
 
切ったら損が確定すると及び腰になるのが人間心理ですが、そんな「過去のこと」にこだわって損失が膨らんだらサイアク……あくまでも、「これから先」を考えて行動するのです。どんどん評価損が増えていく状況を、フリーズした状態で見ているなんて展開はゼッタイに避けなければなりません。
 
だれでも経験があると思うのですが、ガマンできなくなって「えいっ」と損切りしたとたん、プラスの方向に動き出すのが相場の皮肉です。そのずっと前に切るのが正しい処置です。
 
百戦百勝はムリなので、予測が外れたら(相場用語で「曲がる」といいます)、まずは撤退するのが鉄則! 早めに切れば、負け戦にムダな時間を費やしながら損失を膨らませることなく現金ポジション(ニュートラルポジション)に戻ることができます。落ち着いて次のチャンスを探すことができます。
 
“使える”投資法/トレードシステムの条件その1は、「損切り」です。
 
    • 「想定から外れた」状態を判断する基準がある
    • 損切りの条件が事前に決めてある
 
「ここで買い」「ほら上がった」なんて、売買の仕掛けについて語るだけでは、方法論になりません。また、手仕舞い=利益とは限りません。損切り撤退の判断は不可欠なのです。
 

 

2.利益を伸ばす工夫がある

 
 
“使える”投資法/トレードシステムの条件その1は、「損切りルール」でした。
 
でも、やたらと手を出して損切りを繰り返していたら、たとえ1回ごとの損は小さくても、その小さな損失を着実に積み上げていく悲しい結果となります。
 
また、「予測が当たったら儲かる」という保証もありません。
実際の利幅は、手仕舞いするタイミングで決まるからです。
 
「上がる」と思って買った、予測どおりに上がってきた……「当たり」です。“利食い千人力”とばかりに小幅の利益で逃げる決断もありますが、そのあとに大きな上げがあったら「逃した!」と後悔するでしょう。実際、もったいない・・・
 
動いた値幅を丸々取ることなどできません。
また、ガツガツと狙うべきことでもありません。
 
ここで、おもしろい計算を紹介します。
 
1,000円ちょうどを安値に小幅な動きで横ばいしていた銘柄が上昇し、高値1,500円をつけたとします。5割も上がったのですから、りっぱに“ひと相場”ですよね。
 
では、安値の1,000円で買って、高値の1,500円で売ることはできるでしょうか? いくらなんでもムチャな妄想です。では、安値の「1割」上値で買い、高値の「1割」下値で売るというのは? これだって、現実的にはハードルの高い想定ですが、それぞれ1割引するだけで、買い値は1,100円(1,000×1.1)、売り値は1,350円(1,500×0.9)、なんと利幅は250円で「変動幅のピッタリ半分」に減ってしまいます。
 
現実はさらに厳しいと考えるべきですが、実際に500円幅動いたのに100円未満の値幅で逃げてしまったら、結果を見て「ちくしょ~」と思うでしょう。
 
予測が「当たった」ときでも、確実に手仕舞いすることが条件です。
一方、利を伸ばすべく、可能な範囲でねばることも重要です。
 
予測が曲がる(外れる)なんて日常茶飯事、ごくフツーの出来事だと考えなければなりません。
そういった“必然の負け”で損失が出ます。
それは、トレードの「経費」です。
 
経費を上回る利益を出すことが求められるので、見込み違いを引きずらないで「損を小さく抑える」と同時に、いい流れのときには「利を伸ばす」ように努めるのです。
 
    • 利を伸ばす
    • 当たった予測を育てる
    • 乗れたらねばる
 
これらが、ロジック(ルール)になっていなければなりません。
 
“使える”投資法/トレードシステムの条件その2は、「利益を伸ばす工夫がある」ことです。
 
トレードの醍醐味でもある「値幅取り」を、単なる妄想ではなく、再現性のある戦略に落とし込んであることです。
 

 

3.資金管理を考慮した設計

 
“使える”投資法/トレードシステムの条件、その1とその2を再確認します。
 
    1. 確実に損切りできるルールがある(見込み違いの損を小さく抑える)
    2. 利益を伸ばす工夫がある(必然の負けをカバーする“値幅取り”)
 
これで、投資法(トレードシステム)は完成でしょうか?
いえ、肝心な要素である「資金管理」が抜けています。
 
トレード(株式投資、売買、相場)では、「1回の売買数量」が決められていません。
また、少額資金でスタートする人もいれば、大きな資金を動かす資産家もいます。
 
さらには、投資家として目指すゴールも異なれば、目標とする収益もまちまちでしょう。
 
こういった「自分の事情」だけでなく、実際に利用する投資法(トレードシステム)の特性によって、“損益の生じ方”がちがいます。そんな現実に合わせて、資金稼働率や売買数量をうまく決めるのが「資金管理」です。
 
例えば、地味な動きの手堅い低位株だけを対象にする投資なら、資金稼働率が高め(余裕資金が少なめ)でも大きな問題がなさそうです。ただし、「手堅い」という条件を維持するために、わるい時期には長く休むことも求められます。つまり、時期によって資金稼働率は0%ですが、安全を考えながらも70%、80%と上昇することもあります。
 
 
「うねり取り」では、どうでしょうか?
銘柄を限定して数カ月の上げ下げを狙うので、同じ銘柄を継続的に観察することによる「慣れ」で優位性が生まれます。でも、ポジション操作にこだわる部分で過度なストレスを避けたいので、資金稼働率を最大50%にとどめるのが基準だと、私たちは考えています。もちろん、区切りをつけて休む場面もあるので、資金稼働率は、0%~50%の範囲です。
 
もう少し特殊な売買法を考えてみましょうか。
例えば、「派手に上昇した銘柄が、天井から急落する場面を狙う」カラ売り戦略です。
一見、単なる派手好きのバクチ的売買ですが、これをちゃんと機能する戦略に仕上げるのが「資金管理」の考え方です。
 
うまくハマれば、短期間で大きな利益が生まれます。
半面、高値圏でタイミングを取るのが困難なので、仕掛けては損切り、また仕掛けては損切りというように、「よし、乗れた!」と成功の感触を得るまでに連敗を重ねる覚悟が必要です。
 
おのずと、資金稼働率をかなり抑えめにする必要があります。
 
さて、トレードでは最大の収益を狙う「効率化」が求められますが、常識的な感覚の持ち主が計算して“やりすぎ”の設定になってしまうケースが実に多いのです。
 
「資金管理」という単語を持ち出しても、ほとんどの投資家が関心をもたないのですが、プロがとても重要視する要素です。
 
「投資法(トレードシステム)=予測法」と考える向きが多いのですが、以下の3つがそろわないと、ちゃんとした方法が成立しないのです。
 
投資法=「予測法」+「ポジション操作法」+「資金管理法」
 
“使える”投資法/トレードシステムの条件その3は、投資法を形成する3つめの要素、「資金管理を考慮した設計」なのです。
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