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第2項 コロナショック、中源線の対応

第1項では、ちまたの情報がいかに無責任で役に立たないか、いえ、明確に有害だと説明しました。最初から、恣意的な「色」がついているからです。
 
私たちにとって最も重要なのは、「素の状態」の情報です。
例えば、単に「株価」が掲載されていて、余分な価値判断がないことです。
でも、それでは、株を「売る」とか「買う」という具体的な行動に直結しませんよね。
 
こう考えていくと、ちまたの情報がもつ“マイナスの価値”が明白になります。
「株価が上がる」とか「下がる」と言っているのに、判断基準についてはいっさい説明がないのです。つまり、その場限りの基準でテキトーなことを発信しているわけです。
 
株式投資、トレードとは、そんな情報に頼って、わかるはずのない未来を言い当てようとすることではありません。独自の基準を使い、株価変動への対応策を用意し、値動きに対して“常に一歩遅れ”になるけど確実に行動していくのが王道です。
 
さて、「独自の基準」ということは人によって異なり、世の中に星の数ほど存在するということですが、「常に一歩遅れ」という現実を無視せずに株価のトレンドを判断する『中源線建玉法』による分析結果が、コロナショック時とその後に興味深い数字を示したので、それを紹介します。
 
この項では、アフターコロナの株式投資を考えるうえで、どんな変動があったのかを、「中源線建玉法」という確固たる尺度を通じてのぞいてみます。

 

 

1.日経平均で考えるな

 
3月に急落したあと戻した──。
直近の株式市場を、あえてざっくり語ればそのとおりです。
そんな様子を、日経平均のチャートで確認してみましょう。
 
 
 
上の図は、日経平均の終値を直線で結んだ折れ線チャートです。
ただし、「中源線建玉法」による値動き分析で、強弱(売りか買いか、上げトレンドか下げトレンドか)を判断して色分けしてあります。
 
赤い部分が買い線、黒い部分が売り線です。
 
2月からの下げに素早く反応して黒い線に変化していますし、3月以降も、4月にダマシの陰転(黒くなっている部分)があるものの、ほぼ買い線(赤)で上昇トレンドを捉えている様子がわかります。
 
でも、日経平均というのは、3,714もある上場銘柄(2020年5月末)のうち、わずか225銘柄の株価を指数化したものです。「算術平均」という、とても安易な計算方法を用いて……。
 
個人投資家、つまりは“実際に自分の大切な資産を投じる独立プレーヤー”としては、もっと実践的かつ実用的な見方をしたいものです。
 

 

2.下げに反応した

 
もっと実践的かつ実用的な見方とは?
同じく「中源線建玉法」を使うのですが、日経平均のようにわずか225銘柄ではなく、東証一部に属する約2,100銘柄すべてを個々に判断した結果をチェックしてみましょう。
 
銘柄ごとに「中源線建玉法」でトレンド(強弱)を判断し、これは買い(上げトレンド)、これは売り(下げトレンド)と決めていきます。その個々の結果を集計した数字、「買い線銘柄数」をご覧ください。
 
東証一部上場、約2,100銘柄のうち「何銘柄が買い線と判断されているか」を示す数字です。
 
 
2カ所を矢印で示しています。
 
最初は2月20日、まだ日経平均が23,000円台の半ばにいた段階、つまり「うわっ、暴落だ」となる直前です。この時点で、個別銘柄は少しずつ下向きになり、「一歩遅れ」で実践的な判断を下す中源線でも個々に陰転(買い→売り)していたのです。コロナショックが顕在化する以前に、売り買いがちょうど半々のライン(赤いヨコ線)をしっかりと下回っていました。
 
次の矢印は3月19日です。
わずか225銘柄を雑に平均しただけの日経平均が最安値をつけた日ですが、中源線による個別銘柄の判断では明確な変化が現れていました。買い線と判断されたのがたったの65銘柄まで激減していたのに、日経平均が最安値をつけたこの日、すでに561銘柄でした。
 
つまり、中源線は、わずか数日で500銘柄以上を、下げトレンド(売り線)から上げトレンド(買い線)に変化した、と判断していたのです。
 
中源線は、「下げに乗った」だけでなく、「カラ売りの利食い手仕舞い」を実現しました(売りから買いに転換した時点でカラ売りは手仕舞いするルール)。さらに、上げに乗る「買い」の判断をしていたわけです(買い転換でドテン買いにまわるルール)。
 

 

3.記録の連続にビックリ

 
さて、日経平均が安値をつける前に個別銘柄の判断をがらりと変化させた中源線は、その後も驚きの数字を示しました。
 
 
丸数字の「1」と「2」は、前項で説明しました。
そのあとの「3」と「4」について、なにが驚きだったかを解説しましょう。
 
株価が切り返し、メディアが無責任に放った「二番底」という言葉に多くの投資家がおびえていました。「再び下げて同じくらいの安値をみる」あるいは「底抜けの暴落がくる」という恐怖です。
 
ところが、その懸念をあざ笑うかのように、多くの銘柄はグイグイと上昇をつづけました。そして「3」の位置で、東証一部のうち中源線で買い線と判断された銘柄数は1,700を超えたのです。
 
この「1,700」という数字は、林投資研究所で中源線シグナル配信サービスを開始(2015年4月)していらいの記録です。
 
株式市場は、突発的な悪材料の出現で総売りの状況になることがあります。いわゆるパニック売りです。でも、パニック買いというのは考えられません。だから、全体の8割超が買い線になったことは過去にありません。驚きの記録なのです。
 
ただ、スピーディーな下げの反動もあるので、ちょっと割り引いて評価すべきかもしれません。この部分だけを取り上げて大げさにいうのは、いいかげんな一般メディアの論調に近づく姿勢です。
 
ところが、そのあとの4月と5月には、しっかりと評価すべき変化がみられました。
 
4月に入り、反動の上げがいったん落ち着きました。
東証一部の買い線銘柄数は半数を下回りました。
ところが、そのあとジリジリと増加して「4」では再び記録を更新、なんと「1,800銘柄」を超えたのです。
 
これは、なにを意味するのでしょうか・・・
 

 

4.マーケットが変わった

 
株価の激しく変化するなか、「中源線建玉法」が見事に機能したと自慢したのですが、5月末から6月はじめに買い線銘柄数1,800前後で推移するに至った背景はなにか──これを考えることが重要です。これこそが、独自の基準による情報の評価です。
 
コロナの不安がまん延する状況で、単なる勢いではない循環買いがあった、と解釈できます。第1項で触れた「株高を軸に経済が成長する流れ」が、世界各国の異常なほど強力な資金供給によって、さらに強まったと考えるべき変化です。
 
コロナ対策として私たちは、さまざまな面で工夫を求められています。
でも、ただ行動を抑制してガマンすることではありません。
ごくふつうの、積極的な行動に戻ることです。
 
そのための課題は、一部の専門家が携わるワクチン開発、治療法の確立、特殊な装置によるウイルスの不活性化といった事柄だけではありません。コロナ禍によって加速するはずの新技術、例えば通信速度を飛躍的に向上させる「5G」といった基盤を、社会のなかでどう活用していくのかという新発想が活発に出てくるのは当然です。
 
たくさんの分野で、多くの人が知恵を絞って競う──まさに、資本主義社会の成長を支える図式です。
 
コロナによって世界経済が停滞する……たしかに大きな懸念材料ですが、「できない理由」を並べて尻込みする人が大半のなか、常に「じゃあ、こうしよう」と前向きに取り組む人が必ずいます。世界のどの地域においても、多くの新技術、新サービスを生んできた歴史が止まることなど考えられません。
 
ヒトが空を飛べるはずがない……飛行機を開発して空を飛び、数十年後に月面着陸を果たしました。今や「乗用ドローン」構想まで進められています。
 
ロボットが二足歩行なんてムリ……多くの専門家が否定論を唱えましたが、そんな声を無視した開発者が研究を継続した結果、歩くばかりか自転車に乗り、いつの間にかバク転しているじゃないですか。
 
アフターコロナの株式投資、第2のキーワード『株式市場の活性化と発展の継続』です。
 
私たちが自己防衛のために抱える不安をエサに、「読まずにいられない」中毒状態にしようとするメディアに抗い、プラスの価値を見つけるよう努める姿勢に目を向けてみてください。
 

 

5.「二番底」問題

 
さて、メディアが言いつづけた「二番底」とは、なんだったのでしょうか。
 
株価は、あっという間に切り返しました。
中源線も、見事に反応しました。
 
「あそこで買うべきだった」なんて後講釈はインチキですが、「コロナ禍がつづくから、また暴落する」なんて子どもだましの論理を振り回すのは、インチキ以前の問題です。「株価は下がらない」などと予言めいたことを言うつもりはありません。論理が成立していないという批判です。
 
そもそも、日々の値動きをドラマ仕立てで解説する情報ばかり……まるで、スポーツ記事です。そんな刹那的な観点を肯定したとしても、「二番底」発言の問題は消えません。だって、目先の短期的な動きを相手にするのなら、二番底なんて考えずに反転の流れに飛び乗るしかないからです。
 
日々の動きを切り取って語り、数週間とか、せいぜい数カ月の波を観察するのなら、「少し先に二番底はあり得るが、とりあえず買おう」といった言葉が出てきてもよかったはずです。
 
でも、「二番底」という考え方は本来、まちがったものではありません。
実は、とても大切な観点なのです。
ただし、数週間、数カ月ではなく、もっと長い時間軸で有効な発想です。
(この点については、次項で説明します。お楽しみに!)
 
アフターコロナの株式投資、第2のキーワードとして『株式市場の活性化と発展の継続』という捉え方を示しましたが、第1のキーワード『情報を正しく処理するよう努める』ことが土台です。
 
クズのような情報を集めるのではなく、クズっぽい情報はすべて無視するのが第一歩です。
 

 

6.「時間軸」を考えよう

 
前述した「時間軸」の問題も、しっかりと頭に入れて置いてください。
わかりやすく表現すれば、「どれくらいの期間の株価変動をトレードの対象とするか」です。
 
ちまたの予想情報には、この観点がありません。
単純に「有望だ」とか「上がりそうだ」と並べても、それがどれくらいの期間で実現しそうなのか、については触れていません。
 
例えば朝、その日の気温考えて、着ていく服を選ぶとします。
「今は涼しいけど日中は暑くなる」と予想すれば、1枚脱いで薄着になれるような組み合わせをするでしょう。そして、こう言います。「これから暑くなる」と。
 
でも、単に「これから暑くなる」というセリフだけを切り取ったら、数カ月単位の変化で「これから夏になって気温が上がる」という意味にもなります。
 
よくある予想情報では、こんな当たり前のちがいを無視して話を進め、てきとうに銘柄情報をちりばめて終わってしまうのです。要注意!
 
こういったことから導かれる、アフターコロナの株式投資、第3のキーワード『投資の時間軸』です。
 
価格の変動が激しい株式市場において、「時間の経過」(チャートのヨコ軸)は非常に頼りになる尺度です。
 
3カ月後の値上がりを想定して買ったが動かない……実際に3カ月が経過した……「見込み違いを認めていったん売り、冷静に次の一手を考えよう」というような、プロが行う実践的な思考を生み出してくれます。
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